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そろーり、そろーり……抜き足差し足。
大草原に着いたウチは、なるべく音を立てないように、ニンジャみたいに静かに歩く。
歩きながら空を視れば満天の星空が、大地を視れば紫色の夜光花が、どちらも果てなく広がって……はぁ……こんなキレイな草原で、ウチは一体なにしてるんだろ。
【マジョ、話す時は小声でね。バラカスと白雪ちゃんに聞こえちゃうから】
↑
そういうジャッキも小さな声。
【いいか、マジョリカ。絶対に視つかるなよ。スネークだ、スネークになれ】
↑
大倉もジャッキくらいの小声だけど、ん? スネークって誰?
とりあえず、バラカスと白雪ちゃんはどこにいるんだろ。
2人はもう会えたのかな?
それともまだかな?
バラカスが消えてすぐ、ウチは陣で移動した。
そんなに時間は開いてない。
パンダは霊体が大きいし、すぐに視つけられると思うんだけど……あっ! いたっ! バラカス発見!
『ジャッキ、大倉、バラカス視つけたよ。ウチがいるトコからうんと離れてるけど、あれは間違いなくバラカスだ』
星の明かりに照らされて、ゆっくり歩く白黒パンダがココから視える。
出来る限りの小さな声でジャッキ達に伝えると、ウチはめちゃくちゃ褒められたんだ。
【よっしゃーっ! さすがはマジョリカ、視つけてエライぞ!】
【ああ最高だ。マジョの尾行にはセンスを感じるよ】
頭の中に聞こえてくるは2人の声。
すんごい小声で、まるで内緒の話みたい(ま、それに近いけど)。
『んも、”エライ” とか ”センス” とか何言ってるの。それより……やっぱり覗くのなんか良くないよぉ、ねぇ、やっぱりもう帰ろ? 3人でおしゃべりしながら、オウチでバラカス待っていようよ』
心臓に悪い(死んでるから関係ないけど)。
ウチ、生きてた頃も死んだ後も、ヒトの恋を覗くなんてした事ないもん。
だからドキドキしちゃうんだ(もちろんトキメク方のドキドキじゃない、ハラハラする方のドキドキ)。
覗きだなんて視つかったら怒られちゃう、そう思うと気が気じゃないよ。
オウチに帰ってパンケーキでも食べていたい。
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