2366人が本棚に入れています
本棚に追加
【マジョリカ、オウチで待つのはナシだ。バラカスの傍にいて、ちゃんと視守ってやらないと。ん? ああ、そうだ。マジョリカは半分誤解してる(もう半分は?)。これはな、覗きじゃなくて視守りだ。バラカスがテンパって、もしも間違えそうになったらさ、サッとサポートするんだよ】
そう言ったのは大倉だ。
視守り? サポート? ホント? 覗きじゃないの?
【そうだ、自分も弥生も、マジョと同じくらいバラカスを心配してる。あいつが失敗しないように、陰ながらサポートしたいと思ってるんだ。決しておもしろそうだから覗きたいなどと思ってないよ(少ししか)】
ジャッキもだ。
覗きじゃないし、サポートしたいと言っている。
そ、そか、そうだったんだ……!
『ごめんね……! ウチ、誤解してたよ。そういう事ならウチだって頑張るよっ。バラカスが失敗しないように、白雪ちゃんとうまくいくように、サポートするんだから』
ウチは指をパチンと鳴らしてオペラグラスを出現させた。
あんまり近くに行けないからね、これがあればココからでも視えるはずだ。
【マジョ、弥生、みんなで協力してサポートするぞ。我々はスリーマンセルだ、気を引き締めて行こう】
ジャッキの声が力強い(小声だけど)。
そして大倉も言った。
【アタシが思うに勝敗は五分五分だ。白雪は怒ってる。バラカスにはもう会いたくない反面、会いにくるのを待ってるはずだ】
あ……そうだ、そう言ってたよね。
さっきそれを聞いた時、ちょっぴり無茶な理屈だなって思ったの。
そ、そうなか? そうなのかな? そうだと良いけど、大丈夫かな?
『ねぇ、大倉。ウチはさ、今日、白雪ちゃんと会ったけど、けっこう本気で怒ってたんだよ。大丈夫かな、白雪ちゃんは ”来なきゃ来ないで腹がたつ” って思ってくれてるかな。そうなら良いけど、そうじゃなきゃ、会いに行っても口すらきいてもらえないかも……もしそうなら、ウチらでなんとかしなくっちゃね』
【そうだな。だけどよ、話くらいは聞いてくれるさ。なんでかって? 昔、アタシも似たようなコトがあったんだ。中学の頃な、ヤンキーの先輩怒らせちゃって、『もうツラ見せるな! あやまりにも来なくていい!』って言われてさ、アタシ、それをそのまま受け取った。来るな言うなら行かない方がいいんだろうってさ。でもね、1週間後に怒られたんだ。『そう言われたからって、ハイそうですかって引っ込むな。ボコられ覚悟であやまりに来るのが筋じゃろがい!』って。えぇ……だったらハッキリそう言ってよって思ったけど、言われてアタシ、あやまりに行ったの。そしたらちゃんと許してもらえた。説教は長かったけどな。たぶん、白雪も同じじゃねぇかって、アタシは思うんだ】
大倉は自信たっぷりにそう言って、その後ろでジャッキは、
【ソースは元ヤンエピソードか……むぅ】
と唸りを上げていた……って、これ、本当に大丈夫かなぁ。
最初のコメントを投稿しよう!