第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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【マジョリカ、オウチで待つのはナシだ。バラカスの傍にいて、ちゃんと視守ってやらないと。ん? ああ、そうだ。マジョリカは半分誤解してる(もう半分は?)。これはな、覗きじゃなくて視守りだ。バラカスがテンパって、もしも間違えそうになったらさ、サッとサポートするんだよ】 そう言ったのは大倉だ。 視守り? サポート? ホント? 覗きじゃないの?  【そうだ、自分も弥生も、マジョと同じくらいバラカスを心配してる。あいつが失敗しないように、陰ながらサポートしたいと思ってるんだ。決しておもしろそうだから覗きたいなどと思ってないよ(少ししか)】 ジャッキもだ。 覗きじゃないし、サポートしたいと言っている。 そ、そか、そうだったんだ……! 『ごめんね……! ウチ、誤解してたよ。そういう事ならウチだって頑張るよっ。バラカスが失敗しないように、白雪ちゃんとうまくいくように、サポートするんだから』 ウチは指をパチンと鳴らしてオペラグラスを出現させた。 あんまり近くに行けないからね、これがあればココからでも視えるはずだ。 【マジョ、弥生、みんなで協力してサポートするぞ。我々はスリーマンセルだ、気を引き締めて行こう】 ジャッキの声が力強い(小声だけど)。 そして大倉も言った。 【アタシが思うに勝敗は五分五分だ。白雪は怒ってる。バラカスにはもう会いたくない反面、会いにくるのを待ってるはずだ】 あ……そうだ、そう言ってたよね。 さっきそれを聞いた時、ちょっぴり無茶な理屈だなって思ったの。 そ、そうなか? そうなのかな? そうだと良いけど、大丈夫かな? 『ねぇ、大倉。ウチはさ、今日、白雪ちゃんと会ったけど、けっこう本気で怒ってたんだよ。大丈夫かな、白雪ちゃんは ”来なきゃ来ないで腹がたつ” って思ってくれてるかな。そうなら良いけど、そうじゃなきゃ、会いに行っても口すらきいてもらえないかも……もしそうなら、ウチらでなんとかしなくっちゃね』 【そうだな。だけどよ、話くらいは聞いてくれるさ。なんでかって? 昔、アタシも似たようなコトがあったんだ。中学の頃な、ヤンキーの先輩怒らせちゃって、『もうツラ見せるな! あやまりにも来なくていい!』って言われてさ、アタシ、それをそのまま受け取った。来るな言うなら行かない方がいいんだろうってさ。でもね、1週間後に怒られたんだ。『そう言われたからって、ハイそうですかって引っ込むな。ボコられ覚悟であやまりに来るのが筋じゃろがい!』って。えぇ……だったらハッキリそう言ってよって思ったけど、言われてアタシ、あやまりに行ったの。そしたらちゃんと許してもらえた。説教は長かったけどな。たぶん、白雪も同じじゃねぇかって、アタシは思うんだ】 大倉は自信たっぷりにそう言って、その後ろでジャッキは、 【ソースは元ヤンエピソードか……むぅ】 と唸りを上げていた……って、これ、本当に大丈夫かなぁ。
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