第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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ちょっぴり不安もあるけれど、サポートするならちゃんと視なくちゃ……と、目線を遠くに移してみると、離れた場所では大きなパンダがウロウロしていた。 白雪ちゃんを探してるんだ。 大草原は何もなくて見晴らしがいいんだけど、とにかく広くて果てがない、どこまで行っても花畑。 草原内には移動の陣がいくつもあって、それがないと歩きだけじゃ大変だ。 白雪ちゃんが大草原(ここ)にいるとしたとして、探し出すのに時間がかかる。 オペラグラスを通して視るバラカスは、焦った顔であっちにテクテク、こっちにテクテク。 あんなに必死に探しまわって……ウチは視てて泣きそうになった。 いつもは強気なバラカスなのに、好きな子には弱々になっちゃうの。 はぁ……鼻の奥が痛いよ……涙が出そう……なのに涙が出ないのは、頭の中がうるさいからだ。 さっきかっらずっとこう、ジャッキと大倉が小さな声で騒いでる。 【弥生……さっきの元ヤンエピソードと白雪ちゃんとじゃあ、ちょっと違うんじゃないかぁ? 白雪ちゃんは真面目な子だし、ヤンキーとは対極だよ】 【はぁ? ジャッキー分かってないなぁ。その先輩は当時、ヤンキーグループの頭だったんだ。白雪だってデカイ組織の頭だろ? 似たようなモンさ】 ヤンキーグループのエライ人と【光道開通部(こうどうかいつうぶ)】の(おさ)、に、似てるかな? どちらも ”責任者” には変わりないけど、どうだろ…………わ、分からない。 だってウチ、ヤンキーじゃなかったもん、生徒会だったもん。 【とにかく、】と大倉が仕切り直すように声を上げた。 【アタシの読みが合ってても合ってなくても、それはどっちでも良いんだよ。アタシはただバラカスに動いてほしかっただけだ。だってヤダよ、100年も想ってるのにハンパに終わらせたら後悔する。そうならないように、ちゃんと顔視て本音で話してほしいんだ。ボコられても怒鳴られても恥かいても、そこまでやってダメなら気持ちに整理もつくだろ。で、整理がついたらリセットかけて、また告白すりゃあいい】 え、するんだ。 気持ちに整理をつけて次に進むんじゃないんだ……大倉らしいな。 なんたって結婚前の大倉は、ジャッキに何度も告白したんだ。 フラれてもフラれても、不死鳥のように復活してはまた告白。 確か、そう……全部で30回はしたって言っていた。 30回ってすごい数だよ。 大倉にしてみれば、1回くらいじゃフラれるうちに入らないのかもしれない。 そんな話で笑い合ってる時だった。 遠くの方から大きな声が聞こえたの。
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