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『……嬉しいと思ってくれたのか、だったら……! 俺の事、もう一度考えてくれねぇか? 俺は、俺は二度と、』
バラカスの声が一段と大きくなった。
ウチも思わず拳を握る、白雪ちゃん……ウチからもお願い、もう一度バラカスと____そう願ったのに、……白雪ちゃんは涙声で言ったんだ。
『……いやよ、』
なんで……?
どうして……?
嬉しいと思ったのに、どうしていやなの……?
『……白雪……なんでだよ、』
そう思ったのはウチ以上にバラカスだ、低い声が震えてる。
白雪ちゃんは短く呼吸を繰り返す、息遣いは不規則で、動揺しているのが分かる。
『だって……だって……親友だった頃はなんでも話してくれたじゃない。大事な事も、冗談も、なにもかも、いつだって私に最初に話してくれたわ。……だけど、恋人になった途端そうじゃなくなっちゃった……わ、私、それがすごく悲しかった、ショックだった。マーちゃんは、バラカスは臆病になってるだけで悪気はないって言ってたの……さすがにね、いくら私でもその理屈は分かるつもりよ、でも……嫌だった、……自惚れかもしれないけど、私は黄泉の誰よりもバラカスを理解してると思ってたし、なんだって言い合えると思ってた。だから淋しくて淋しくて仕方なかったの、……これから、バラカスと恋人になって親友じゃなくなったら、また同じ事があるのかもと思うと……怖いの、嫌なの、…………だから付き合えない、』
一気に話した白雪ちゃんは、最後の方は涙声の尻すぼみ。
話すの……辛そうだよ……聞いたバラカスも辛そうで……
『…………なら、親友に戻るのか?』
『………………うん、でも……すぐには戻れないわ。気持ちの整理をつけたいの。その為にしばらく会わない方がいい、』
……
…………
再び沈黙。
ここから2人の顔は視えないけれど、笑ってないのは確実で、それはウチもおんなじだった。
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