第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

111/285
前へ
/2550ページ
次へ
【……マ……ジョ……マジョ……マジョリカ、】 あ……ジャッキだ、 声がうんと小さくて、あやうく聞き逃すとこだった。 『ジャッキ、大倉、ごめん。ウチ、ずっと黙っちゃった……あのね、こっちは大変な事になってるの、白雪ちゃんがバラカスと別れたいって。親友に戻りたいとも言ってたよ。それから、親友に戻るには気持ちの整理が必要だから、バラカスとはしばらく会えないって』 【やはり一筋縄ではいかないか……ん……そうだマジョ、こんな時にごめんね。先にひとつ教えて。バラカス達とマジョの距離はどのくらい離れてる?】 『距離? ん、今は10メートルいかないくらい……かな、けっこう離れてる』 【そう、良かった。そのくらい離れていれば大丈夫だ。距離が5メートルを切ると自分と弥生の声がバラカス達にも届いてしまうから気を付けて★1。視守りの事はあとでみんなであやまるとして、とりあえず今は視つからないようにね】 『うん、分かってる。あのね、バラカスと白雪ちゃん。このままだと本当に別れる事になっちゃうよ。白雪ちゃんもバラカスもすごく辛そうで……ウチ、どうしたら良いんだろう』 【そうか……それは間近で視てるマジョも辛いよね。大丈夫かい? 辛かったらもう帰ろうか、……みんなで視守ろうとは言ったけど、マジョが辛い思いまでしている事はないんだ。それに……最後は当事者同士でなんとかするしかないんだから】 『……帰る……か、ん……ん……ううん、ウチもう少し傍にいたいよ。確かにさ、これは2人の問題だけど、ウチほっとけない。だって白雪ちゃん、たぶんだけどバラカスのコトまだ好きなんだ。キライになったなら何も言えないけど、でも違うから……ああ、もう本当にどうしたら良いんだろう。目の前に辛そうな2人がいるのに、ウチに出来る事はないのかな……』 これはバラカスと白雪ちゃんの問題だ。 それはよく分かってる。 出しゃばっちゃいけない、ココにいるのはあくまで視守り。 でも……でもさ、出来る事が何かあるはずなんだ。 ★1→ジャッキーとマジョリカの音声通信について少々補足です。 遠く離れた現世と黄泉を、ジャッキの魂に癒着している【光る道の欠片】の力で繋いでいますが欠片はけっこうアバウトです。 ”ジャッキー⇔マジョリカ” で音声通信中、メインで繋げてる2人の傍に誰かが来れば、欠片はその人も一緒に繋げてしまいます。 それゆえ ”ジャッキー&弥生⇔マジョリカ&バラカス” で同時に話す事が出来、普段はみんなで仲良く話しています。
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加