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【あのさ、ちょっといいか?】
そう言ったのは大倉だ。
ハスキーボイスが頭の中に滑り込む。
『ん、なに? どした?』
【んと、白雪はバラカスが好きなのに、それでも付き合えないって言うのはさ、要は今回の事で白雪が不安になっちゃったからだろ?】
『……うん、そうだと思う』
【じゃあ単純に考えて、不安さえなくなればバラカスと付き合っても良いってコトだよな? それならさ『これからは不安にさせない』って、バラカスが言いまくるしかないよ】
『ん……まぁね、……でも、それが一番難しいんだよ。だって、バラカスがどう言っても、今の白雪ちゃんには届かない感じだもの、……なんて言うのかな、ショックのあまり、半分心を閉ざしてる感じなの。そうなるとバラカスがあやまろうにも、これからは不安にさせないって言おうにも、そういうコト自体聞いてくれなそうなんだよね、……はぁぁ』
【ああ、そっか。聞いてくれない状態か。どうしたら聞いてくれるだろ。聞いてくれなきゃ始まらないのに。……アタシはどうしてたかな、不安になった時、辛い時、そういう時は……あ、酒飲んでたわ。そっか分かった! マジョリカ、酒だ! 酒をたくさん用意しろ! で、2人にしこたま飲ませるんだ! そうすれば楽しくなって、話もしやすくなるんじゃないか?】
『えぇ……ちょっと大倉、それ、無理。こんなピリピリした空気の中、ウチが出てってお酒を出すの? 無許可の視守りもバレちゃうのに? やだー! そんなの怖くて出来ないよ! 想像だけで泣いちゃいそう。それに白雪ちゃんは、お酒は嗜む程度で、しこたま飲んで酔っ払って楽しくなるタイプじゃないの』
【そうなん? じゃあ白雪は何が好きなんだよ。酒じゃなくても、なにか白雪の好きな物がココにあれば、気持ちも和んで少しはバラカスの話を聞く気になるんじゃないか?】
『そか……お酒に限らなくて良いんだよね。そか……そか……ウチならバラカスのパンケーキがあれば、泣いてたってゴキゲンになるよ。そか……それくらいならウチでもなんとか出来るかも、……白雪ちゃんが好きなモノ、か。それならやっぱり……アレしかないよ』
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