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『……………………なんだこりゃあ』
呟いたバラカス。
大きなパンダは腕をダラリと下げたまま、ゆっくり辺りを見渡している。
『…………綺麗……それに……良い香り……』
白雪ちゃんも呟いた。
声はとっても小さくて、言葉の終わりにため息が混じり込む。
2人はほとんど同時に呟き、ほとんど同時に黙ってしまった。
聞こえてくるのは、白雪ちゃんの息遣い。
吸って……吐いて、吸って……吐いて、そのリズムはさっきと違う。
規則的で、柔らかくて、とても深い。
沈黙が流れる中も、ウチはずっとシャボン玉を吹き続けていた。
大きく息を吸い、フーーーーッと強く吹き込んで、それを何度も、そう、何度も何度も繰り返す。
さっきの白雪ちゃん、シャボン玉視て綺麗って言ってくれた、良い香りとも言ってたよ。
少しは和んでくれたかな。
もっとたくさん飛ばしたら、もっと和んでくれるかな。
そしたらバラカスの話、ちゃんと聞いてくれるかな。
仲直りしてくれるかな、……ん、してほしいな。
どうか願いが叶いますように。
その想いをストローに吹きこめば、想いのぶんだけシャボンが玉が増えていく。
夜の澄んだ空気の中に、虹の膜を張りながら、ふわりふわりと宙を舞う。
……
…………それから、そう長くない時間がたった。
ウチは息を吐きすぎたのか酸欠みたいになってしまって、ストローを口から離して目を閉じた。
地面の上に低くしゃがんでジッとして、オートリカバーの修復に霊体を委ねる。
こうしていればすぐ治る、大丈夫、治ったらまたシャボン玉を増やさなくっちゃ、……と思ったその時、白雪ちゃんの声が聞こえたの。
『…………綺麗……ああ綺麗……こんなにたくさんのシャボン玉……なんて幻想的なのかしら……それにとっても良い香り……私の大好きな柑橘の香りよ、』
あ……声が弾んでる、
白雪ちゃん、喜んでくれてるんだ。
嬉しい、ウチ、嬉しいよ。
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