第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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きゃーーーーーっ! 白雪ちゃん、すっごい動揺してる。 いつもとぜんぜんチガウよ。 光道(こうどう)にいる時は、いつだって落ち着いて、凛として、動揺なんかしないのに。 今の白雪ちゃん、みんなが視たらビックリしちゃうな(ウチもビックリ)。 とは言っても……白雪ちゃんが動揺するのも無理はない。 バラカスとは100年来の親友で、バラカスは白雪ちゃんしか視てないけど、その白雪ちゃんは仕事ばかりで、2人で恋愛の話をする機会もなかったんだろうし。 となると……白雪ちゃんは知らないんだ。 恋愛モードのバラカスがどれだけ情熱的かってコトを。 ウチはそれを知っている。 なんたって白雪ちゃんの話を聞かされたし、ウチもジャッキの話をしたからね。 最初は驚いたよ。 だってバラカスはちっともクールじゃない、熱いパンダなの。 そしてバラカスの攻撃が始まった。 『俺はな、白雪。24時間、お前と毎日一緒にいてぇ。1日のうちの数時間じゃ足りねぇんだよ』 『そ、そんなコト言ったって無理よ。だって私、仕事があるわ。休みの日だって呼び出しがかかったら行かなくちゃいけないし』 『仕事はな、仕方がねぇと思ってる。だがよ、休日出勤は気に入らねぇ。どいつもこいつも白雪を頼り過ぎだ。出勤者でなんとかしろって話だぜ』 あぅ……み、耳が痛いよ。 ウチらみんな、白雪ちゃんに頼りっぱなしでゴメン。 心の中で謝ってると、白雪ちゃんが慌てたようにこう言った。 『それはいいのよ。頼ってくれるうちが花だもの。私を必要としてくれるなら、休みだろうと喜んで出社するわ』 うわぁんっ! ありがたいよぉ、心強いよぉ、白雪ちゃんアリガト、大好きっ! 大地にしゃがみ込みながら、光道(こうどう)(おさ)に感謝の念を送っていると……再びバラカスが攻撃を始めた。 『これだよ。まったくお前は働き過ぎだ。頼られると嫌と言えねぇんだからよ。ま、これも性格だ、今更変えろってのも無理だろ。なぁ白雪、ここでひとつ思い出してくれねぇか? お前を必要としてるのは光道(こうどう)のヤツラばかりじゃねぇってコトをよ。ココにもいる。お前が必要で、お前がいなけりゃ死んでしまうダメパンダがよ、』
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