第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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きゃーーーーっ! ”お前が必要” だってーーーー! ど、どしよ、ウチ、盛り上がってきちゃったよ! がんばれバラカス……! 今なら白雪ちゃん、話を聞いてくれそうだもの。 シャボン玉に和んでくれたのもありそうだけど、それ以上にバラカスの、あまりにストレートな(愛の)攻撃に押されてる、すんごい効いてるっ! さっきまでの頑なさがなくなった、……というか、白雪ちゃんは動揺しちゃって、それどころじゃないんだろうな。 『お、大袈裟よ、私がいなくなったくらいで死んだりしないわ、』 もうっ、白雪ちゃんはわかってないな。 チガウよ、好きな(ひと)と会えないなんて、淋しさと悲しさで気持ちが死んでしまうんだ。 『大袈裟じゃねぇよ。俺にはお前が必要で、お前に会えなきゃ屍になっちまう』 バラカスの声、真剣だ。 そうだよね、会えないのは辛いよ。 まして気まずくなったままじゃあ尚更だ。 そんなの耐えられない、好きだからこそ辛すぎる。 『屍って…な、なに言ってるのよ、だって、私、……私なんか、』 『”私なんか” って言うな。白雪以上に良い女はいねぇ』 『ああ……もう、待って、お願いだから待って、それ以上言わないで、私、頭の中がグチャグチャよ、』 『バカ言うな、待たねぇよ。何度も言うしヤメロったって止めねぇわ。 聞け、白雪。お前が好きだ。初めて会った100年前からこの気持ちは変わらねぇ。24時間毎日お前と一緒にいてぇし、本当なら一瞬たりとも離れたくねぇ。このザマだから数年単位で会わねぇなんて俺にはとても耐えられねぇ。なぁ白雪、教えてくれ。お前はどうなんだ? 耐えられるのか? お前は俺と会わなくても平気なのか? 淋しいとは思わないのか?』 一気に話したバラカスは、白雪ちゃんの答えを聞く前にズンズン前に歩き出す。 白雪ちゃんは『来ないで、』と、か細い声で、だけど逃げ出す気配はしなかった。
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