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『白雪、』
短く呼んだ直後。
バラカスは白雪ちゃんを抱きしめた。
『あ、ま、まって! こんなの落ち着いて話が出来ない……、』
ここからじゃあ、大きな背中に隠れてしまって視えないけれど、たぶん白雪ちゃんは固まっている。
フカフカお腹に捕らわれて、動けなくなってるんだ。
『いいから、このまま聞け。どうなんだよ、白雪は俺と会わなくて平気なのか? この100年、毎日欠かさず会っていたのに』
囁くような声だ。
まるで子供の話を聞き出すみたいな優しい口調。
『わ、私は、……私、………ああ………私だって、……さみしいよ』
あ……白雪ちゃん……声はとても小さいけど、だけど、今のは素直な気持ちなんだと思う。
恋愛の仕方が分からないと心配してた白雪ちゃん、……だいじょうぶ、正解なんてどこにもないよ、心に感じたコトを口にすれば良いだけだ。
バラカスは白雪ちゃんの答えにホッとしたのか、 ”はぁぁぁぁ……” と息を吐いた。
そして……
『だったら、会わないなんて言うな』
『………………だって……』
『ああ……悪い、そんな事を言わせたのは俺だよな。俺がお前を悲しませたからだ。本当に悪かった。約束する、これからは絶対に悲しませねぇ。何かあれば必ず俺の口から話す、最初にお前に話すから、』
『………………今までみたいに?』
『今までみたいにだ』
『なんでも……?』
『なんでもだ』
『………………』
『信じられねぇか?』
『…………そうじゃないけど……』
『そうじゃないけど?』
そうじゃないけど……白雪ちゃんはここで言葉を止めてしまった。
バラカスは答えを急かす気はないようで、一緒になって黙り込んだ。
……
…………
【……マジョ、……マジョ、聞こえる?】
あ……ジャッキだ。
頭の中に滑り込む低い声、……って、いけない。
こっちの状況、まるで伝えてなかったよ。
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