第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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『ジャッキ、大倉、ごめんね、ウチぜんぜん実況出来なかった。シャボン玉に必死になっちゃったの』 ウチがそうあやまると、現世の2人は気にする様子もなく、 【大丈夫、問題ないよ。我々はバラカスを視守るスリーマンセルだけど、こういうのは現場が一番大変なんだ。マジョ、頑張ってくれてありがとね。実況が途切れたくらいなんともないよ】 ジャッキがそう言うと、大倉がその後を引き継いで、 【そうそう。これってさ、霊媒師の仕事と一緒だよ。ツーマンセル、スリーマンセルで現場に入った時、場合によっちゃあ途中ではぐれるコトもある。そんな時は慌てず騒がず、自分に出来る事をして、で、後から再会した時に報告し合えばいいんだ____】 それで、最終的にジャッキーと大倉、声を揃えてこう言ったの。 【というコトで、空白のこの時間でバラカスと白雪はどうなったん!?】 んも、声に力が入りすぎ。 でもな、仕方ないよね、こうなっちゃうよね。 黄泉と現世で離れているけど、ウチらは家族でバラカスパパが心配なんだ。 ウチは手短に説明をした。 白雪ちゃんがバラカスと数年単位で距離を置こうとしてたコト、 当然バラカスは大反対で、だけど白雪ちゃんは頑なだったコト、 白雪ちゃんを和ませるべく、ウチは酸欠になるまでシャボン玉を吹いたコト、 シャボン玉効果で白雪ちゃんがバラカスの話を聞き始めてくれたコト、 そのバラカスが恋愛モードオンになって、情熱的な攻撃と、あと、今は白雪ちゃんを抱きしめながら話をしているコト、そういうの、ぜーんぶ話したんだ。 【なっ! バラカス、白雪ちゃんを抱きしめながら話してるの!? ついさっきまでフラれそうだったのに? ちょっと目を離した隙に急展開だ……! ぐぬぬぬ……視た目はカワイイパンダちゃんのクセに……やるじゃないか……!】 ジャ、ジャッキ、動揺しすぎ。 大倉は大倉で【バラカス、カッコイーーーー!】って叫ぶ声が聞こえてくるし、んもー騒がしいんだから。 バラカスのハグはぜんぜん珍しいコトじゃないのに。 バンブー星のパンダ族は霊体(からだ)がすごく大きいから、自分より小さな霊達(ひとたち)に気を遣ってくれるんだ。 力加減を間違えたら痛い思いをさせてしまう、そうしない為のハグだもの。 頭を撫ぜるより、肩に手を置くより、背中をポンと叩くより、フカフカのお腹に抱き寄せるんだ。 バラカスは口は悪いけど優しいパンダだからね。 ウチもしょっちゅうハグしてもらうし。 あ……そうだ、確かジャッキも言ってなかった? 8年前、バラカスに抱きしめられたって。★1 とは言っても……今、バラカスが白雪ちゃんを抱きしめてるのは、もっと特別な理由なんだろうけど(きゃー!)。 ……という説明は、迷ったけどまた今度するコトにした。 今すれば、ぜーーーーったい話が脱線するもん。 次に現世に呼ばれて行ったら、その時に教えてあげるんだ。 ★1、8年前、ジャッキーがバラカスに抱きしめられたシーンがココです。 https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=684&preview=1
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