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『バラカス、わたし____』
聞こえた声はここまでだった。
視上げた先。
ふわふわの大きな背中に力が入って、きっと、……ううん、今バラカスは、白雪ちゃんを強く抱きしめている。
不安がる子をハグするそれとは違う。
想い続けた白雪ちゃんを、ありったけの愛情で包んでいるんだ。
しばらく2人はそのままで、ウチも一緒にそのままで、ホッとする柔らかな空気に浸っていた……んだけど、
『……ックシュン!』
あ、白雪ちゃんがくしゃみした。
『ど、どうした、寒いか?』
バラカスの声が焦ってる。
んも、落ち着いてよ。
ウチらはユーレーだもん、普段の生活で寒いだなんて思わないよ。
寒さとか熱さを楽しむなら、そういうアミューズメントに行かなくちゃ。
バラカスは黄泉に住んで100年だもん、知らないはずないのになぁ。
これは相当動揺してますね、幸せすぎてオカシナコトになってますよ、……ふふふ。
『ち、ちがうわ、寒くない。あのね、バラカスの毛皮が鼻にくすぐったかったの』
白雪ちゃんがいたって真面目に答えると、
『そっか、悪い。今降ろすからよ、』
明らかに残念そうな声なのに、バラカスは精一杯紳士ぶる。
だけどこのあと……自分の気持ちにやっと気付いた白雪ちゃんの、甘すぎる素直発言にパンダはひたすら攻撃されるのだ。
『あ……! いいの、このままでいて! ……私、今はあなたとくっついていたいわ』
『く、くっついていたい……!? お、おう、俺もだ』
きゃーーーー!
効いてる効いてる!
白雪ちゃん、今の攻撃、すんごい効いてるよ!(攻撃のつもりはないだろうけど)
『バラカスのお腹、とってもフワフワで安心する……あのね、バラカス。あの、私ね、……ありがとう。私を好きになってくれた事もだけど、……私ってやっぱり鈍感だわ。あなたを好きだという気持ちに気付いていなかったんだもの。それに気付かせてくれてありがとう、……あのね、わ、私ね、……気付いてなかった分、今、き、気持ちが、その……溢れてる。あなたが、…………す、好きよ、だいすk……』
最後の方は声が小さくすぼんでしまって、言い切きれてない。
だけどこれは白雪ちゃんの精一杯だ。
ウチは密かに、音も立てずにバタバタ萌えて、それで、バラカスはと言うと、嬉しすぎるのか『パ、パン……!』と呟き、ぎゅーっと白雪ちゃんを抱きしめた。
良かった……良かったね。
ウチ、すごく嬉しいよ。
100年の恋、想い続けたバラカスと想っていたけど気付けなかった白雪ちゃん。
2人の気持ちがやっと通じ合ったんだもの。
こんなに、こんなに嬉しいコトは、うぅ……だ、だめだぁ、涙が出ちゃうよ、ウチにとって大好きな2人だもの。
嬉しい気持ちが止まらない。
空を視れば綺麗な星空。
シャボン玉は……だいぶ減ってしまった。
よし、もう一回吹こう、いっぱい吹いて、またシャボン玉でいっぱいにしよう。
それと、この事をジャッキと大倉にも伝えたいな。
心配してる、だってウチらは家族だもん。
『ジャッキ……大倉……』
小さな声で呼びかけてみる、だけど返事がない。
というより、回線が繋がってないみたいだ。
長くなっちゃったからなぁ……一回、通信切ったのかな。
ウチからは呼び出せないし、待つしかないかな……と考えてた時だった。
遥か遠く、地平線に近い場所。
そこで小さく煌めく白い光を視付けたの。
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