第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

128/285
前へ
/2550ページ
次へ
『パン……? なんだありゃあ』 バラカスも気付いたみたいだ。 抱っこされてる白雪ちゃんは振り返り、少し遅れて『なにかしら……?』と呟いた。 ウチは2人に視つからないように、首だけ伸ばして前を視た。 ポゥ…… 白い光は蛍のようにゆっくりと宙を舞う。 ふわふわと波を描いて、決して大きくないけれど、遠目からでも煌めいているのが分かる。 隠れているウチも含め、3人でその光を眺めていた____ ____それは突然だった。 ダン! ダーー! ダンダンダン! ダーー! ダーダーダー! ダン! ダンダン! 何かを叩くような大きな音がしたんだ。 そしてその直後。 小さな蛍が一匹の、最初にあった白い光を中心に、左右に素早く伸びてくみたいに、たくさんの白い光が現れたんだ。 ポウ……ポウ……ポン、ポン、ポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポン……! あっ! と思った次の瞬間、数えきれない小さな光が、大きく横に広がった。 『なんだこりゃあ……』 バラカスの呆けた声、 『綺麗……!』 白雪ちゃんの弾む声、 『す、すごい……』 ウチも思わず声が出る。 広い大地の離れた所で、たくさんの光りが集まって、横に流れ縦に流れ、螺旋を描き、そうかと思うと高さを持った波になる。 白色だけの光の中に、赤や青、黄色に紫、虹の色が加わって、夜の暗さにそれがとっても美しい。 最初はゆっくり、次第に早く。 発光する虹の波は、光の尾っぽをそれぞれ後ろに流しながら、夜空以上の輝きを視せていた。 綺麗……もう、天まで届きそうだよ、 あんなの視た事がない、あれは一体……
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加