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【……ジョ……マジョ……マジョ聞こえる?】
…………!
ジャッキだ!
『聞こえるよ、ジャッキごめんね、ウチ、またちょっとも実況出来なかった、いっぱい待たせちゃったね、あのね、あれからね、』
連絡が嬉しくて、ウチは早口になりながら、バラカス達の話をしようとしたの。
だけどすぐには出来なかった。
珍しく慌てた様子のジャッキが、ウチくらいの早口でこんなコトを聞いてきたんだ。
【マジョ、話の途中でごめんね。先に確認したい事があるんだ。今、そこの大草原にはたくさんの光が集まってきてない? たぶんだけど、マジョ達のいる場所からけっこう距離のある位置に、どうかな?】
ん? 光りって……ウチは思わず前を視た。
ジャッキの言う通り、地平線に近い場所で、数えきれない光のリボンが右に左にリズミカルに泳いでる。
『な、なんで知ってるの? そうだよ、さっき急に現れたんだ。キラッキラに輝いて、本物の星みたいにキレイなの』
【そう、そんなにキレイなのか。よしっ! それで、数はどのくらい?】
『いっぱい! 数えきれないよ。ジャッキは大草原を覚えてる? 地平線の端から端までぜーんぶ光ってる、そのくらいいっぱいだよ』
【そう! そんなにたくさんなんだね! んー、完璧じゃないか……! さすがは我が同志達】
『え、待って。ジャッキはあの光の正体を知ってるの? 同志達って、あの光は誰かが動かしてるの? その霊達はジャッキのお友達なの?』
分からないコトだらけだ。
ジャッキが黄泉に来たのは8年前に1度だけ。
なのにお友達がいるの?
しかもあんなにたくさん?
ウチ、そんなの知らないよ。
【マジョの話からすると……集まってるのは1000人前後ってトコロかな? さすがに全員知ってる訳じゃない。知ってるのはその中の24人、現世で知り合ったんだ。彼らとは趣味が合うから今じゃすっかり友人なの。
あのね、我々3人は ”視守り隊” と言いながら、マジョばっかりが頑張ってるだろう? 現世組もなにか出来る事はないかと考えて、それで、友人達に連絡を取ってみたんだ。事情を話して、喧嘩中の恋人達に思いっきりロマンチックな光のショーを視せてやってくれないかって】
『そうだったんだ……じゃあ、じゃあ、ジャッキのお友達が他のお友達にも声をかけてくれたんだね。それであんなに集まってくれたの……どうしよ、すっごくありがたいよ。あのね、だってね、バラカスと白雪ちゃん、今すっごく良い雰囲気だよ。ウチ、今度お礼に行かなくちゃ! 大事な旦那さんのお友達だし、なんたってバラカスと白雪ちゃんもお世話になった訳だし』
【そうしてくれたら嬉しいよ。自分も、あと彼らも絶対に喜ぶ。視た目は個性が強いけど、とても気の良いヤツらなの。ジャッキーの嫁ですって訪ねて行ったら、……ははは、相当驚くだろうな。こんな冴えないオジサンにマジョみたいな美少女だもの】
『ちょっ! ヘ、ヘンなコト言わないでよね。挨拶に行きにくくなっちゃうよ。……それにしても、よくあんなに動きが揃うなぁって感動しちゃう』
【そんなに揃ってる?】
『うん! 揃ってるからすんごくキレイなの! どうやって揃えてるんだろ? だって大草原には音楽もかかってないし、リズムを取るものが何もないの。だけど、コワイくらいピッタリだよ』
【ああ、それね。それくらい彼らなら朝飯前さ。おそらく、最初に打ち合わせをしたんだろう。曲を決めて、それを1000人それぞれ脳内で再生してるんだ。頭で大音量で流れる曲に合わせて、打ってるんだ】
『打ってる?』
【そう、彼らの十八番さ。曲に合わせて踊るんだ。サイリウムのスティックライトを両手に持って、そう、我々ガチオタはパーフェクトなシンクロでオタ芸を打つんだよ】
………………ん?
んーそっか、そうなんだ……ん、ウチ、ジャッキの言ってるコト、よくわかんないや。
でも、でもね、なんかスゴイのは分かったよ!
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