第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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それから、ウチはこれまでのコトを手短に話したの。 バラカスと白雪ちゃんが仲直りをしたコト、光のショーは仲直りの直後に始まって、あまりのピッタリなタイミングにとっても良い雰囲気になったコト、これでもう心配いらない、一安心だってコト……ぜんぶを話し終えた時、ウチはホッと力が抜けた。 大倉が、 【マジョリカすっごい頑張ったな! こういうのは現場が一番大変なんだ。これから家に帰るんだろ? 帰ったら3人で祝杯あげようぜ!】 なんて元気に言って、ウチはもちろん『うん!』と答えた。 さぁ、一足先に帰ろう。 2人っきりにさせてあげななくちゃ。 きっとまた一晩中話をするに決まってる。 大丈夫、もうケンカなんてしないだろうから ”視守り隊” は必要ない。 あとは視つからないように帰るだけ……明日になったら本当のコトを言おう。 ”ゴメンナサイ” と ”おめでとう” を両方言うの。 ウチはこの時、完全に浮かれていた。 現役霊媒師であるジャッキと大倉が、【現場は完全に撤収するまで油断するな】と言っていたのに、『大袈裟だなぁ、ココは現世じゃないんだから』と真剣に聞かなかったんだ(ちゃんと聞いとけばヨカッタよ……)。 ジケンが起きたのはそんな時だった。 ウチは帰る前、最後にバラカスの背中を視たの。 抱っこされてる白雪ちゃんは、ふわふわボディに隠れて視えない。 バンブー星のパンダ族はみんな霊体(からだ)が大きいけれど、バラカスはその中でも特に大きい。 ウチはずっとバラカスの真後ろにいたから、視つかるコトなく視守るコトが出来たんだ。 あとは……そろーりそろりと後ずさり、陣まで行けばオウチまでは一瞬だ。 よし、帰ろ、帰って祝杯。 焼酎のお湯割り(梅干し入り)を飲むんだから。 そだ、シャボン玉セット持って帰ろっと(今度現世に持って行く)。 『綺麗だったわね……』 あ……白雪ちゃんの声だ。 光のショーは少し前に終わったけれど、お姫様は余韻に浸ってるみたい。 そうだよね、すんごくキレイだったもの。 『……ああ、確かに綺麗だった……、 パン……さっきの絶対アイツらだよなぁ……光ってたのはサイリウムだろ。動きは【A・G・L】の曲に合わせたオタ芸だ。不本意ながら俺も打ったし覚えてる……なんだってこんな時間にこんな大草原(ところ)で、しかもサイレントで打つんだよ。偶然か……? 明日、ピンクバンダーに聞いてみるか……』 や、やば……! バラカス、何か勘付いてるかも……!
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