第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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『ソ、ソレガシ……じゃない、バラカス! 再構築はしたらダメよ、だって、公的な機関での施術(しじゅつ)じゃない、いくらあなたが器用でも、独学の再構築は違反だし、なにより危険だわ』 そうだ、再構築のコト、白雪ちゃんに怒られたじゃない。 やっと仲直りが出来たのに、目の前で再構築なんかしたら……白雪ちゃん、怒っちゃうし悲しむよ、……だから、ねっ! パンダに戻ろ!  『白雪、怒るのは明日にしろ。それよりもっと顔を視せてくれ。ヒトになるとお前の瞳がよく視える、パンダの時より近くなるからな。俺は白雪の目が好きなんだ、こんなに綺麗な目を視たコトがねぇ』 きゃーーーー! こんな時だけど甘ーーーーーい! これはますます視つかる訳にはいかないよ。 このタイミングで視つかったら甘い空気が壊れちゃう。 『ちょ、ちょっと……! そんなコト言わないで、恥ずかしいわ』 白雪ちゃんがすんごく照れてる。 ん、ワカルよ。 好きなヒトに褒められるのは嬉しいけど、嬉し過ぎて恥ずかしくなっちゃうよね。 膝掛けの隙間からチラリと視える、困った顔の白雪ちゃんはほっぺが真っ赤。 バラカスは背中しか視えないけど、デレデレしてるに違いない。 デレデレ疑惑のバラカスは、ほんのちょっぴり不満げに白雪ちゃんに抗議する。 『んなコト言ったって、綺麗なモンは綺麗なんだから仕方ねぇだろ。俺はもう、お前には小さなウソもつかねぇと決めたんだ』 言われてしまった白雪ちゃんは大慌て。 しどろもどろで言い返すけど、ウチから視ても勝てる感じが少しもしない。 『バ、バラカス、あなたヘンよ。今までそんなコト言わなかったのに、』 『言わねぇだけで思ってたさ。コトバに出さなかっただけだ』
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