2366人が本棚に入れています
本棚に追加
ニコニコ笑う白雪ちゃんと優しい声のバラカスは、おでこを小さくぶつけ合っていた。
コツンコツンとするたんび、2人の距離は縮まって幸せそうにコトバを交わす。
ウチはそれが嬉しくて、ウチもすごく幸せで、なんでか今すぐ、現世に行きたいなぁなんて思ったんだ。
『……楽しいね、』
コツン、
白雪ちゃんからおでこをぶつけ、小さな声でつぶやいた。
『ああ、楽しいな』
コツン、
バラカスもおでこをぶつける、そして、白雪ちゃんの短い髪に指を絡ませ、
『……すげぇ幸せ、』
そう言ってまたコツン。
白雪ちゃんは『私もよ、』と言いかけたのに、途中で言葉を止めてしまった。
ニコニコと笑っていたのに戸惑う色がほんのり浮かぶ、その顔は赤く染まって……ああ、これは無理もないよ、だって……
バラカスはつけたおでこを今度は離さずそのままに、白雪ちゃんの頬を両手で包み込んでいた。
それはとっても近い距離。
バラカスか白雪ちゃんか、どちらかがほんの少し動いただけで…………そう、
ちゅーってなっちゃう!
きゃーーーーーー!
ど、ど、ど、どうしよーーーーー!
ウチ、ウチ、えっと、えっと、とにかくジャマしないようにしなくっちゃ!
それと、それと、そうだ!
目をつむるの!
視ちゃダメ、絶対ダメ、目をつむって、膝掛けぜんぶ頭にかぶって、ココロの中で数を数えて、それで、それで、あぁでもどうしよ、プレッシャーだよ、絶対に視つからないようになくちゃ、だいじょぶかな、これでウチがジャマしちゃったら、しばらくバラカスに言われるよ、ブーブー言うに決まってる、ウチ、ジャマしないようにがんばるからね、きゃーーーーー!
ウチはこの時、目をつむって、口もぎゅっと結んで、忍者のように隠れたつもりでいたんだ。
これ以上ないくらい完璧な忍びになったって、そう思っていたのに……
『…………きゃっ! え……? そこにいるのはマーちゃん!?』
頭の上から白雪ちゃんの声が降ってきたんだ。
最初のコメントを投稿しよう!