第三章  霊媒師研修ー1

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「結界ってな、数時間から数日だけもてばいいものと、このビルみたいに長期的にもたせなくちゃならんのとある訳だよ。短期間ですむ場合は霊力をそんなに使わないけど、長期的にとなると術者の霊力と体力の消耗が激しいんだ」 そう言ってホワイトボードに黒いペンでこのビルらしき簡単な絵を描き始めた。 「3階建てのビル丸々1棟、無期限で24時間365日結界を張るなんて1人じゃ絶対に無理。人力だけで張るのなら5~6人の交代制にしてやっとだ。それでも引き継ぎの時に僅かな隙間ができる可能性がある。『一生懸命結界張ったけど悪霊に入られちゃいました』なんてのはプロとしてありえない。そこでだ」 今度は緑のペンに持ち替えて、さっき描いたビルの絵に蜘蛛の巣のような蔦を描き加えていく。 「建物に絡まるなら蔦でも薔薇でもなんでもいい。全体をまんべんなく植物が覆ってくれたら、どこか起点を決めてそこから霊力を流し込むんだ。あとは植物が勝手に霊力を運んでくれるから2~3日に一回霊力を補充してやればいい、簡単だろ? そのうちエイミーにも教えるから強力なの張ってな」 「えぇ! 僕が結界を!?」 嘘だろ?? 何度も言うが、僕は今まで幽霊も見た事ないし金縛りにもあった事が無い。 そんな僕がビル丸ごと結界張るの? 張れるの? 本当に? 「ダイジョウブ! 張れるさ。いや、俺が必ず張らせてみせる! その為の研修だ」 「あ、ありがとうございます。頑張ります!」
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