第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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習ったコトを思い出し、ウチは2人に一通りの構えを視せた。 うまくごまかすなら、ある程度のリアリティが必要だもの。 大草原(ここ)に来たのはカタナの練習、そう思わせなくちゃいけない。 『マーちゃん、頑張ったのね。思った以上に上手だわ!』 視終わって、褒めてくれる白雪ちゃんは、ウチのコトを信じてくれる。 だけど……どうもバラカスは疑ってるみたいだ。 半信半疑で『本当にカタナの練習か?』なんて片眉を潜めてる。 うぅ……勘の良いパンダだよ。 でもいい、たぶんだけど6割くらいはごまかせた。 ボロが出てない今のうちに撤収しよう。 『じゃあ、そろそろウチは帰るね。2人はゆっくりしてったら? だって星が綺麗だもの。寝っ転がって眺めたらいいよ』 さり気なくそう言って、ウチは両手をヒラヒラさせた。 よし、あとはこのまま陣に行くだけ……と、その前に、膝掛けを回収しなくちゃ。 バラカス達には甘い時間を過ごしてほしい。 だからこそ、ウチが散らかしたモノはウチが持って帰るんだ。 クシャクシャに丸まった膝掛けが落ちてるなんて、そんなのチョットいただけないよ。 ウチが膝掛けを拾おうとした時、 『マーちゃん、陣まで送ろうか?』 優しい白雪ちゃんは、心配してそう言ってくれたんだ。 『大丈夫。陣まで歩いてすぐだもん。ひとりで行けるよ』 『そう? なら良いけど……じゃあ、転ばないように気を付けてね』 『やだなぁ、ウチはコドモじゃないんだから大丈夫だよ。それより、明日少し会えるかな? ウチね、白雪ちゃんに話したいコトがあるんだ』 これはもちろん今夜のコトだ。 ウチが大草原(ここ)にいたのはカタナの練習じゃないって正直に話すの。 『もちろん会えるわ。明日も一緒にゴハンを食べましょう』 『うん』 白雪ちゃん、ニコニコしてて可愛いなぁ。 いつも可愛いけど、今夜は特別可愛いよ。 色々あったけど、うまくいってくれて良かった。 大好きな2人だもの、すんごく嬉しい。 ウチは鼻歌まじりに膝掛を拾い上げ、マントのように肩にかけた。 嬉しくて、楽しくて、思わずスキップしてしまう。 早く帰ろ、そんで飲もう、今夜は祝杯。 もーすごくすごくうれしいよー!
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