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にくたらしかったバラカスが、照れてしまってタジタジで、白旗あげてオウチに帰った。
瞬間移動は使わない。
玄関開けて、そのまま右に歩き出す。
『じゃあな』
そう言ってから1歩2歩3歩4歩5歩____はい、到着。
近すぎて歩いて行ってもすぐ着いちゃう。
そう、ウチのオウチとバラカスのオウチはお隣同士なのだ。
学校の体育館をいくつも合わせたような。
バラカスのオウチは、ドアも窓も、部屋もキッチンも、なにもかもがすんごく大きい。
視上げるくらいの巨大なドア。
玄関から短い廊下を(バラカスから視ればだけどね)歩いてすぐにリビングがある。
広々としたスペースはフローリングでもラグでもなくて、床には芝生が敷き詰められている。
ふかふかだから裸足で歩くと気持ちが良いの。
リビング奥には横開きの扉があって、そこを開けて進んでいけばバラカスの仕事部屋に着く。
リビングよりも更に広い空間は、端から端まで機械が並んで、バラカスはしょっちゅうココで作業をしてるんだ。
なにをしてるのかは……正直よく分からない。
並ぶ機械はサーバーというもので、黄泉の国の公式機。
数はぜんぶで9999台。
その昔の100年前、バラカスだけで造ったらしい。
9999台って……イチパンで造る数じゃないよ。
大変だったろうな。
黄泉の国は理想郷。
指を鳴らせばなんだって手に入る。
服も、靴も、宝石も、ご馳走も、オウチでさえもだ。
陣を使えば黄泉中を行き来できるし、怪我をしたってオートリカバーが治してくれる。
こういう便利な機能が当たり前にように動き、滞る事がないのは、各専門職のみなさんと、それからバラカスのおかげなのかもしれない。
サーバーのコトはよく分からない、そもそも触らせてもらえない、でも、でもね、9999台のマシンの中でも1台だけ、ウチにとって特別なのがあるの。
それは第98号機、ジャッキの専用サーバーだ。
8年前、バラカスは黄泉の国に申請もせず許可も取らず、独断でジャッキに権限を付けた。
ウチの旦那さんはバラカスにとって息子だからって、現世に行って何かの役に立つようにって。
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