第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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ジャッキは言ってたよ。 バラカスのサーバーにどれだけ助けられてるか、って。 ____自分は元々霊能力者じゃないからね、 ____サーバーがなければ、ただの冴えないオジサンだ、 ____霊媒師の真似事が出来るのはバラカスのおかげなの、 ____本当に、感謝しかないよ、 そう、旦那さんは霊媒師。 現世で、平蔵の会社で、株式会社おくりびで、ユーレー相手の仕事をしてるの……、ん……口で言うのは簡単だけど、大変な仕事だと思うよ。 だってさ、相手は善霊ばかりじゃない、悪霊だっているんだもの。 嫌でも危険が付いて回る。 怪我をするかもしれないし、最悪、命を落とす可能性だってある。 ウチは1度だけ、現世で視たんだ。 霊媒師が仕事をしている実際の現場を。 正直……すごく怖かった。 いっぱい泣いてしまったし、恐怖で足がすくんだし、もう二度と黄泉の国には帰れないと覚悟もした。 ジャッキはいつもこんな事をしてるのかって心配になった。 でもね、ジャッキはこうも言ったんだ。 ____心配しないで、大丈夫、 ____自分にはバラカスがついている、怖い事は何もない、 ____借り物ではあるけれど、自分にしか遣えない霊力(ちから)だ、 ____どうせなら、うんと遣って人を助けたいよ、 ____自分がそうされたみたいに、 ____マジョと弥生に助けてもらったみたいに、 あの時のジャッキ、すごく良い顔で笑ってた。 きっと、ウチが光道(こうどう)の仕事が好きなのと同じくらい、ジャッキは霊媒師の仕事が好きなんだろうな。 ジャッキが好きなコト、頑張りたいコト、そういうのはぜんぶ応援したい。 本当はウチも、大倉みたいにカタナが上手で、岡村みたいに霊鎖が操れたらと思うけど、それはやっぱり難しくって、だからウチに出来る事をする。 せっかく黄泉にいるんだもの。 第98号機、ジャッキをサポートする大事なサーバー。 いつかこのマシンのメンテナンスが出来るように、ウチが面倒視れるように、密かに勉強してるんだ。
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