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白雪ちゃんじゃないけれど。
あの時、頭の中はグチャグチャだった。
浮かんだ疑問に答えが出ないし、考えがまとまらない。
ジャッキの事、大倉の事、ウチの事____
現世に来てから色んな事がありすぎて、心がちっとも追い付かない。
悶々とする中で、ひたすらあの子を目で追った。
ボロボロの大倉は、殴られても蹴られても、悪霊達に酷い事を言われても、それでもカタナを降ろさなかった。
ウチの安全と引き換えに、惜しげもなく身を削り続けていた。
……
…………
ねぇ、なんで……?
カタナを降ろせば楽になるのに。
口約束を破った所で、そんなの誰にも責められないよ。
だってもう、ボロボロのフラフラだ。
身体中、傷だらけの泥だらけ。
それなのに諦めない。
何度も何度も、倒れた数と同じ分だけ立ちあがり、カタナを構えて走り出す。
ねぇ……ねぇ、
どうしてそこまでするの……?
どうしてそこまで出来るの……?
そうまでする意味がある……?
ウチ、大倉に酷い事をいっぱい言ったよ。
大声で怒鳴ったし、睨みつけもした。
言った事は後悔してない。
ウチには理由があったんだもの、ジャッキを返してほしい、その一心だった。
でも……でもさ、必要以上に責め立てたんだ。
感情だけで怒鳴ってしまった。
責められた大倉は言い訳なんてしなかったけど、思う事はあったはずだよ。
なのに……ねぇ、なんで?
その気になれば、ウチを滅する事も出来るのに、それだけの霊力があるのに、そうすればジャッキと一緒になれるのに、だけどそうはしないよね。
それどころか、あんなになっても守ってくれる。
しつこいくらい、諦める事を知らないみたいに。
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