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『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ヤダ!! 離して!!』
悲鳴が喉から突き抜けた。
強い恐怖は奥歯を鳴らし、悪夢であればと願ったのも半瞬で、顔にかかる悪霊の息があまりにも生臭く、その不快さが、”ウチは捕まったんだ” と実感させた。
ウチを抱える2本の腕はガッチリお腹に食い込んで、暴れても逃げる事は叶わない。
焦って後ろを振り向けば【闇の道】が赤黒く燃えている、このままではウチも地獄に流される、
い……嫌!イヤ嫌だ嫌ダ嫌だ!嫌だ怖いよ絶対嫌だよ地獄になんか逝きたくない怖いよ嫌だよ離してハナシテお願いイヤダ助けてたすけてタスケテ助けてたすケテたすけ____
『ジャッキ!! ジャッキ助けて!! ジャッキ!! ジャッキ!! ジャッキ!!』
パニックになりながら名前を呼んだ、ジャッキ、ジャッキ、ジャッキ、何度も何度も何度も、助けてほしくて、すぐ来てほしくて、怖くて、焦って、何度も何度も、愛する人に助けを求めた、気が狂いそうで、強い恐怖に潰されそうで、そんな中、それはおそらく無意識に、ウチはジャッキじゃない名前も呼んでいた。
『助けて!! 助けて!! 大倉ぁっ!!』
叫んだ直後。
ウチは目を疑った。
呼んだのはウチだけど、無意識に助けを求めてしまったけれど、満身創痍のはずなのに、ボロボロすぎるはずなのに、傷だらけの大倉は、どこにそんな力が残っていたのか、それとも、身を削ってそれを力に変えているのか、とにかくあの子は力強く地面を蹴って、ウチに向かって走り出したんだ。
隣には、当然のようにジャッキもいた。
2人は息もピッタリに走る速度をグングン上げて、あと少しでウチに届くという所まで来た、…………それなのに、闇の触手が邪魔をした。
触手は急に高度を上げるとウチから2人を遠ざけたんだ。
あぁ……駄目だ……きっともう助からない、怖いよ……
諦めが頭をよぎる絶望的な状況だった。
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