第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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『大倉ぁっ!』 叫ぶように名前を呼んだ。 あの子は絶対来てくれる、諦めないでいてくれる。 そうだよ、これが初めてじゃないじゃない。 現世に来てからずっとずっと守ってくれた。 ウチが消えればジャッキと一緒になれるのに、それを知っててそうしない。 マジョリカを守るから____ その約束をいまだ果たし続けてるんだ。 グッとお腹に力を込めた。 しっかりしよう、頑張らなくちゃ。 諦めない、「もう駄目だ」ってあの子が言うまで諦めない。 ブンッ! 小さな音がしたのと同時。 大倉は、霊鎖を下から真っすぐ飛ばしてウチの腰に絡ませた。 そして鎖にぶら下がり、それ以上の降下を食い止めたんだ。 く……苦しい……生者一人の体重分だ。 腰に鎖が食い込んで、痛みで霊体(からだ)が壊れそう。 大倉はウチを下から視上げながら「痛かったら悪い、」と手を振っていた。 ★この辺りのシーンの弥生視点です https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=906&preview=1
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