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……
…………
……………………はぁ、
あの日のコト、思い出すと眩暈がしちゃう。
そりゃあね、ありがたいと思ってる。
2人一緒に助かったのは、あの子のおかげだもん。
でもさぁ、ちょっぴり大倉怖かった。
あまりにも衝撃的で、たまに夢に出てくるの。
ウチを離さないまま、大倉に髪を寄越せと騒ぐ悪霊。
大倉は ”髪を渡せばマジョリカを離すかも!” と、迷う事なくナイフでザクザク切ったんだ。
長くてキレイな髪だったのに、束で掴んで、鏡も視ないで、すんごく真顔で、一心不乱に切っていた。
衝撃シーンを至近距離で視せつけられて、忘れたくても忘れられない。
【【闇の道】】
↑
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(悪霊)←『髪寄越せぇぇぇ!』
(ウチ)←後ろからガッチリ固定されてる
┃ ←女2人は霊鎖で繋がってる
(大倉)←髪…ザクザクザクザクザクザクザク……
うん……こんな感じだったな。
ホントにあの子は無茶ばっかり。
ウチを何度も助けてくれた。
最初の方は颯爽と、最後の方はフラッフラになりながら、諦めず、しつこいくらいに来てくれた。
あはは、思い出すと眩暈がするし、胸が熱くて涙も出ちゃう。
涙と言えば……あのあとヤヨイが大変だったなぁ。
ヤヨイは大倉が大好きで、好きすぎちゃうから、服も髪も、お揃いを譲らない。
黒のワンピに長い髪、2人はいつでもお揃いだった……のに。
ウチもジャッキも一緒にいた日。
いつになく弱気な顔の大倉は、
「これからヤヨちゃんを呼び出すから、はいコレ」
と、霊力で構築した大きな傘をくれたんだ。
広げてみるとウチとジャッキ、大人2人が余裕で入れる大きさだけど、なんで傘? 雨じゃないし、そもそもココは家の中だし、……と意味が分からないでいた。
意味が分かったのはヤヨイを呼び出してすぐのコト。
現れたチビッ子を「ヤヨちゃんゴメン!」と大倉が抱きしめた。
言われたヤヨイは目を真ん丸に視開いて、大倉の短い髪をさわって、自分の長い髪もさわって、しばらくそうしていたけれど、みるみるうちに涙が溜まり、そして…………
【うわあぁぁぁぁぁん カミやよいのかみがみジかくなったぁぁぁぁぁぁ】
と豪雨のように大泣きしたの。
大きな目からは涙が溢れてとまらないし、天井からはヤヨイのコトバが文字となって降ってくるんだけど……この時、謎がとけた。
ああ、そうか、だから傘をくれたのか。
ヤヨイのコトバは傘にあたってコロコロ落ちて、床にどんどんたまってく。
紫色に優しく光り、それはとってもキレイだけど……だめ、かわいそうで視てられない。
大倉の髪に相当ショックを受けたみたいで、ひっくり返って泣いている。
どうしよう……ウチのせいだよ。
大倉は謝るばかりでオロオロしてた。
無理もない、また伸ばそうにも生者だもん。
戻るまでには時間がかかる。
今すぐどうこう、したくたって出来ないの。
この大問題を解決したのは……大倉でもウチでもなくてジャッキだった。
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