2366人が本棚に入れています
本棚に追加
わんわん泣く子の声の代わりの光る文字。
途切れるコトなく天井から降って、あっという間に床は一面、ヤヨイのコトバで埋め尽くされた。
どうしよう、ヤヨイがぜんぜん泣き止まない。
どうしたら泣き止むかな、なにをしたら笑ってくれるかな。
考えながらポッケの中に手を入れた。
なにかないかな、ヤヨイが喜びそうなモノ、笑ってくれそうなモノ。
ゴソゴソゴソ
中身を全部出してみたけど大したモノがない。
あるのはハンカチとシュシュとリボン、それだけだ。
アメとかグミとかお菓子があれば良かったのにな。
「マジョ、それは?」
同じ傘で一緒に座る、ジャッキがウチにそう聞いた。
『あ……うん。あのね、ヤヨイが喜びそうなモノを探してたんだ。ほら、ここが黄泉なら好きなモノを出せるけど、現世じゃウチ……』
そうなのだ。
霊力者でないウチは、現世でモノの構築が出来ない。
前に一度、試してみたけど希望のモノは作れなかったし、形にすらならなかった(キラキラ光る丸めたティッシュみたいなのが出来た)。
『だからね、持ってるモノでヤヨイにあげられるモノがあればなぁって。でもこんなモノしかなかったよ』
ウチがしょんぼりそう言うと、ジャッキはそれをジッと視て、
「…………ん、なるほど。花柄のハンカチにピンクのシュシュ、それと水色のキレイなリボンか。マジョ、十分だよ。これでヤヨちゃんを喜ばそう」
と笑い、「ちょっと待ってて」と部屋を出ていった。
ジャッキは何をするのかな……?
ウチは密かにワクワクしながら待ってると、10分くらいで戻ってきたの。
手にはフィギュアを持っていて、前に視せてもらった仕事用の物だった。
「マジョ、このフェギュアに触ってごらん」
いたずら顔で、ズイッとフィギュアを差し出すけどさ。
無理だよ、だってウチはユーレーだもん。
すり抜けるに決まってる。
最初のコメントを投稿しよう!