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さわれっこない、そう思ってウチがモジモジしていると……
「もしかして触れないと思ってる? 大丈夫、フィギュアの仕様は特別なんだ。だってほら、」
子供の顔で笑うジャッキは、言いながら、フィギュアを下に降ろしたの。
床の上はヤヨイのコトバでデコボコしてて、置かれたフィギュアは手足が曲がってヘンな恰好になっている。
んも、扱いが雑だなぁ。
フィギュアはジャッキの大事でしょ、仕事で使うモノでしょ……なんて、奥さんらしく(?)口煩く言おうとした時だった。
ポォォォ……
突然フィギュアが発光した。
光るだけじゃない、クタっとしてたはずなのに、ムクッと起き出しトコトコ歩いてウチの傍までやってきた。
そして、小さな両手をバンザイみたいに上にあげると、ウチの足をペチペチ叩き出したんだ(痛くはない)。
『わぁ! くすぐったっ! え? なんで? どうして? フィギュアがウチにさわってる!』
びっくりした、不思議だしオモシロイしで、思わず声が大きくなった。
「あはは、おどろいたかい? 視るのは初めてだもんなぁ。前に話しただろう? 自分は依代フィギュアに憑依して現場に行くって」
『あー! そうだ言ってた! そか、こうやってフィギュアに入り込むんだ! ウチ初めて視たよ、ジャッキすごいよ!』
ウチは大興奮だった。
聞くと視るとじゃぜんぜん違う。
フィギュアが動いて、死者のウチにさわったの。
そんなの、岡村にしか出来ないと思ってた!
「言っただろう? このフィギュアは特別仕様なんだ。マジョがユーレーでもフィギュアでなら触れるの。どうして触れるか……仕組みが知りたい? でもそれは今度ね。先にヤヨちゃんを元気にしなくちゃ」
そう言って、ジャッキのフィギュアはさらにトコトコ歩き出し、泣いてるヤヨイの隣に立った。
【やよいのかみ てんテンてんミジかくなったおそろいじゃなくなた】
べそをかくチビッ子。
ジャッキは明るく声を掛ける。
「久しぶりだねぇ、元気にしてたかい? 自分、ヤヨちゃんに会えて嬉しいよ」
ピタ……、
あ、ヤヨイの動きがとまった。
ひっくり返った格好で、顔だけを横向きにジャッキのフィギュアを視つめてる。
同時、天井から文字が降ってきたのだが、
【じゃっきジャっき やよいのかみ イマスグながくシテ】
んー……ヤヨイごめんね、それはちょっと無理かな。
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