第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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ヤヨイのべそに大倉もおおいに困っていた。 眉をハの字にさせているけど、泣いてるチビには「そんなの無理だ」と強くは言えず……ん……わかる、きっとウチも言えないや。 ジャッキのフィギュアは腰をかがめ、ヤヨイの髪を優しく撫ぜた。 ヤヨイのほっぺは涙でキラキラ光ってるけど、ほんの少し笑ってくれた。 「ヤヨちゃんは弥生の髪が短くなって悲しかったんだよね」 【うん】 「大好きな弥生とお揃いが良いんだ」 【うんおそろいガいいの】 「そっか、そうだよね。んーでもな、困ったな。弥生は生者だから、髪はすぐには伸びないの。そうだな……戻るのに1年くらいかかるかも」 【いちねん てんテンてん そんなニ?うぅうぅ】 「やっぱり……長いよね。じゃあさ、それまでの間、別のお揃いにしようか」 【べつの?】 「そう、別の。ヤヨちゃん、起きてココに座ってごらん」 【てんてんテン んーんーワカッタ】 少し迷ったヤヨイだけれど、結局素直に座ってくれた(ちょこんと正座で)。 そしてそこから、ジャッキはすごく早かった。 フィギュアのカラダでヤヨイの肩に飛び乗って、右へ左へ跳ねまわり、目にも止まらぬ早さでもって髪をいじって、シュシュとリボンも手に持って、それをヤヨイに巻き付けて、それで、それで……わぁ! 「『なにこれかわいー!』」 大倉とウチの声、それがピッタリ重なった。 「ふぅ」 そう言って小さな肩から降りたフィギュアは満足そうにヤヨイを視あげる。 そのヤヨイはというと……まるでお人形だ。 すんごく可愛くなっちゃって。 ジャッキはチビの、綺麗な髪をツインテールに結い上げたのだ。
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