第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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ほんっとにカワイイ! ツインテールは右がシュシュ、左はリボンで結ばれて、左右で飾りがチガウけど、ヤヨイがあまりに可愛いせいかそれがちっともおかしくないの。 結んでもらったチビッ子は、赤いほっぺで正座のまんまソワソワしてて、涙はもう流れていなかった(やったぁ!)。 「どうかな、お姫さま。髪は気に入ってくれた?」 フィギュアとジャッキ。 揃って並んでそう聞けば、ヤヨイはコクコク頷いて、ぱぁっと顔を明るくさせる(カワイイ優勝っ!)。 「そう、気に入ってくれて嬉しいよ。あのね、ヤヨちゃん、これで弥生とお揃いになったよ」 ん……?  ジャッキはなにを言ってるの? ヤヨイはツインテ、大倉はショートボブ。 ぜんぜんチガウよ、お揃いとは言えないよ。 ヤヨイは首を傾げているし大倉も不思議顔。 だけどかまわずジャッキは言った。 「ヤヨちゃん、手を後ろにやってごらん。髪を結わいたから首が出てるだろう? どんな感じがする? いつもと違ってスースーしない?」 ヤヨイは両方の手のひらで首の後ろをさわってる。 天井からは【すースーする】と降ってきた。 「うん、そうだよね。あのねヤヨちゃん。弥生もおんなじ。髪が短くなったから、首の後ろがスースーしてる。ヤヨちゃんとお揃いだ」 あ……うん、えっと……えぇ? 確かに、髪が長いと首の後ろは隠れるし、たまに結わくとスースー感じる。 で、でも……それってやっぱりお揃いとは言えないよ。 だって髪型ぜんぜん違うし、いくらヤヨイがちっちゃい子でも、ごまかせるとは思えない。 だいじょうぶかなぁ……ウチ、心配になってきたよ。 ヤヨイを視れば口を尖らせ考え込んで、お揃い要素を探してるけど……たぶん、視つからないでいる。 「ん? あれれ? もしかして、チガウと思ってる? ……これがねぇ、違くないんだよ。どうしてだと思う? あのね、視た目じゃないの。弥生の髪が伸びるまで、そうね1年くらいかな? その間、夏になって秋になって冬が来る。そしてまた春が来るでしょう? 暑いのも涼しいのも寒いのも暖かいのも、そういうのぜんぶ、髪を結べば弥生が感じるのと同じに感じる事が出来るんだ。どうだろう……? これもひとつのお揃いなんじゃないかなぁ?」 髪が伸びる1年間、期間限定のお揃い……か。 ん……ヤヨイはなんて言うかな? 納得してくれるかな?
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