第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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【すースーは てんテンてん おソろい?】 紫色のヤヨイの文字が降りてくる。 ジャッキはそれを目で追ってから、優しく笑ってこう言った。 「そうだよ。弥生もずっと髪が長かったからね。久しぶりに短くなって、首元にいろんなものを感じるだろう。それは陽ざしだったり風だったり、雨が降ったら水滴も。弥生は騒がしいから、そのたび笑ってアレコレ言うに決まってる。その時、ヤヨちゃんもいっぱいコトバを降らせたら良い。弥生と一緒に騒ぐんだ。騒いで笑って楽しんでたら、1年なんてあっという間にすぎちゃうよ」 ちょこんと正座のヤヨイの隣、大きなジャッキは同じく正座で座ってる。 チビッ子はほっぺを赤くジャッキを視上げ、お花みたいな笑顔になった。 「ヤヨちゃん、」 大倉が両手を広げて声をかけると、ヤヨイは振り向き一目散に飛び込んだ。 【やよいとおソろい すースーおそろイ】 「うん、お揃いだ」 抱っこされた胸元に、顔を押し付けしがみつく。 時々、顔を上げて大倉と笑い合い、そしてまたヤヨイは顔を押し付けた。 2人、すんごく仲良しだ。 ん……、羨ましいくらいに。 「ヤヨちゃん良かったなぁ。可愛く結ってもらって。すっげー似合ってるし、髪飾りも可愛いよ」 ぱぁぁぁ! あはは、褒めてもらって嬉しそう。 シュシュとリボンに手をやって、ちょっぴりおしゃまな得意顔。 ジャッキが上手に結ったからだ。 あんなに可愛くしてもらって、女の子なら嬉しいよ。 意外な器用さを視せたジャッキ。 そのジャッキはヤヨイに言ったの。 「ヤヨちゃん。そのシュシュとリボンはマジョのなんだ。しばらく貸してもらおうね」
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