第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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大倉の腕の中、聞いたヤヨイはクルッと振り向きウチを視た。 キュートなツインテ、目はキラキラで、さっきよりもほっぺが赤い。 ああもう可愛い、なんてニマニマしてると…… 【しゅシュとりぼん まじょりかのカワイイの カシテくれル?】 その文字を読んだ時、ウチの胸がきゅーんとなった。 ”かしてくれる?” って……そんなの、そんなの、 『あげるっ、シュシュもリボンもヤヨイにあげるよぉ! 気に入ってくれて嬉しい、あのね、今日はこれしかないけど、次に現世(こっち)に来る時はもっといっぱい持ってくるからね。カチューシャとか可愛いピンとかクリップとかヤヨイに似合いそうなの、ぜーんぶ!』 声が大きくなっちゃった。 だって可愛い、最初からあげるつもりだったけど、こんなに喜んでくれるなんて思ってもみなかった。 なんだろう、胸の真ん中がふわふわする。 あったかくて、きゅーんとして、ヤヨイが笑うとすごく嬉しい。 【カワイイの てんテンてん ヤヨイにくれるの?】 少し小さな文字が降り、今度はウチがコクコク頷く……と、チビのお口がぱかーんと開いて、そしてそのまま固まった。 「あはは、ヤヨちゃんが石化しちゃったよ。よっぽど嬉しいんだなぁ。いつも髪はおろしただけで、こんなカワイイ髪飾り、今までつけたコトなかったもん。マジョリカ、ありがとな」 チビッ子と同じ顔した大倉も、お花のような笑顔になった。 2人してニコニコで、親子みたいにくっついて、それがとっても微笑ましくて、なのにほんの少しだけ……淋しいというか……いいなぁって、羨ましいなぁって思ってしまった。 【まじょりか ありがと まじょリカ だいすき】 降った文字は大きくて、抱っこのヤヨイはウチに向かって両手を伸ばし足をバタバタしはじめる。 大倉は「ちょっ! あぶなっ!」と言いいながら、そっとヤヨイを下に降ろすと、途端チビはタタタとウチに駆けてきた。
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