第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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…… ………… ……………… ふふ……ふふふふふ……大変だったなぁ。 あの日、なにが一番大変かって……ヤヨイが大泣きしたコトよりも、泣き止んだヤヨイがずーっとウチにくっついちゃって、抱っこのまんま寝ちゃったコトだよ。 まぁ、ヤヨイは子供だし。 前半すごい泣いてたから、泣き疲れもあっただろうけど、ぐっすり寝ちゃってゆすってもぜんぜん起きてくれないの。 大倉は「ごめんな、腕がしびれるだろ」って、ヤヨイを離そうとしてくれたけど、ちっちゃな手がぎゅっとウチをつかまえて、こんなの視たら、無理に離さなくていいよって、腕なんかしびれてもいいよって……なっちゃった!(幸せっ) あー大変だった。 すんごく大変だった。 ヤヨイは寝ちゃうとクテッと重たくなっちゃうし、寝息が甘くてくすぐったいし、あーもーこーまーるーって…………うぅ、思い出したらヤヨイに会いたくなってきた。 あの子のコトバは ”声” じゃなくて ”文字” だから、ジャッキの通信では話が出来ない。 直接会わないとダメなんだ。 次の休みはいつだったっけ? ヤヨイ会いたさ100%でスケジュールを確認しようとした時だった。 外から声が聞こえたの。 『マ、マーちゃーん、』 この声……白雪ちゃんだ! え、どうしよう! 白雪ちゃんから来てくれた! 本当はウチから会いに行かなきゃダメなのに! とにかく急いで出迎えなくちゃ! 『はーい! 待ってー、今ドア開けるー!』 ドタバタしながら玄関へ向かう……と、また白雪ちゃんの声がしたの。 『マ、マーちゃん! 大丈夫、急がないで! その……なんだったらこのままお話してもいいわ』 な……なんで? 部屋に来てくれないの? 白雪ちゃん……もしかして怒ってるのかな? ウチが昨日、コッソリ2人を視守ってたから……うぅ……どうしよう、大好きな白雪ちゃんに嫌われたらウチ……ウチ…… 『白雪ちゃーん! ウチをキライになっちゃヤダー!』 嫌われたらヤヨイみたいにひっくり返って泣いちゃうから……! あわてちゃって足がもつれて、それでもなんとか玄関に辿り着く。 そしてこの後。 ウチはドアを開けたんだ。 開けてすぐの玄関前に白雪ちゃんは立っていた。 大好きな親友は怒ってなんかいなくって、ホッと胸を撫でおろす。 でも同時……ウチは固まったの。 ヤヨイみたいにお口ぱかーんになっちゃって、ただただ白雪ちゃんに釘付けになった。 だって……だってさ、白雪ちゃんの髪……!
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