第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

165/285

2366人が本棚に入れています
本棚に追加
/2550ページ
白雪ちゃんの髪はずーっと短い。 ウチは……ううん、ウチだけじゃない。 ほかのみんなもそうだ。 白雪ちゃんの長い髪を、誰一人視たコトがない。 聞けば、生者の頃の16才まで長かったけど、とある理由で筋トレを始めたのをきっかけに、刈り込む程のショートにしたと言っていた。 それからの長い年月。 命が終わり死者になって約300年。 1度だって伸ばした事はないそうだ。 死者であれば、生者みたいに伸びるのを待たなくて良いというのに。 美容院で『今日はロングにしてください』、そうオーダーすればいくらだって伸ばしてくれるというのに。 それにも関わらず、白雪ちゃんは短いままでいた。 美人だしロングも絶対似合うのに、 『万が一戦闘になったら長い髪はじゃまなのよ』 と、平和な黄泉の国ではあり得ないコトを言っていたんだ。 その白雪ちゃんが……だ。 ウチの目の前。 短いはずの髪じゃなく、肩までのセミロングで立ってるの……! 黒い髪は柔らかそうで、毛先がクルンと内巻きに。 ふんわり髪はツヤがあり、陽ざしが溶け込み光のベールをかけたみたい。 いつもとチガウ、ぜんぜんチガウ。 ウチ……初めて視たよ、髪を伸ばした白雪ちゃんを。 …… …………可愛い、 はっきり言って、ものすごく可愛い。 でも急にどうしたんだろ、って……ん、これはきっとバラカスが原因だ。 ウチ、覚えてるんだから。 昨日草原で、パパは白雪ちゃんに言ってたよ。 ____オニキスの短い髪も最高だ、ああでも、 ____もう少し伸ばしてもいいかもな、 ____きっと長い髪も似合うはずだ、 って。 3b506d7c-f07b-417d-ba58-15e782c44bc0イラストは鳴上鳴さま♪ 白雪ちゃん、美人で筋骨隆々でマーベラス! めっちゃ感謝です。 https://estar.jp/users/137817582
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加