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緑茶を一口。
飲めば気持ちがホッとする。
『ささ、白雪ちゃんも飲んで。おいしいよねぇ、良い香りだよねぇ。それで……急に髪を伸ばそうと思ったのは……その、昨日バラカスが言ってたコトが関係する?』
思い切って聞いてみた。
白雪ちゃんは耳まで真っ赤にさせながら、コクっと小さく頷いた。
そしてこうも言ったんだ。
『私……バラカスになにかしてあげたかったの。それでね、昨日、マーちゃんが帰ったあと、直接聞いたのよ。私に何かしてほしいコトはない? って』
『うんうん。バラカスはなんて?』
『それがね、特にないって言うの。今まで通り、よく食べてよく笑ってくれたらいいって』
『あはは、バラカスらしいなぁ』
『ねぇ、本当にそれで良いの? だって……恋愛よ? 恋人よ? よく食べてよく笑えだなんて……それ、私のお母さんが言ってるのと同じだわ』
『あはははは、バラカスと白雪ママって会えばケンカばっかりしてるけど、2人共白雪ちゃん命だからねぇ。おんなじコト言ってるなんておかしいの』
『もー笑いごとじゃないわ。お母さんはね、まだ分かるのよ。親だし、私の仕事が忙しいのを知ってるから、ゴハンはしっかり食べてほしいってコトだと思うの。でもバラカスは、……こ、恋人だし、同じゴハンでも一緒に作りたいとか、その……いろいろあるじゃない』
『うーん、そうかもしれないけど、バラカスは本気で言ったんだと思うよ。だってよくウチに言ってるもん。『白雪は白雪のまんまでいればいい』って。バラカスね、白雪ちゃんが思ってる以上に白雪ちゃんのコトが好きなんだ』
『そ、そうなの?』
『うん、そうだよ。バラカスはさ、白雪ちゃんが大好きだから、特別なコトをしなくても良いと思ってるんだ。いつも通りに笑ってくれたら幸せなんだよ』
『そっかぁ……それじゃあ私、余計な事をしてしまったわ。昨日ね、バラカスが言ってたの。『もう少し髪を伸ばしてもいいかも』って。それを明け方に思い出して、それで、その……思い切って伸ばしてみたの。早とちりだわ、私が髪を伸ばしたくらいで、彼が特別嬉しがるとは思えないもの……』
ちょっと……白雪ちゃんは、なにも分かっていないのね。
仕方がない、ウチが教えてあげます。
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