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コホン____なぁんて。
ちょっぴり真面目な顔をして、ワザとらしい咳払いをしたあとに、ウチはこれでもかと力説した。
『んも、白雪ちゃんはぜんぜんわかってないよ。いい? 髪を伸ばしたのが ”余計なコト” のはずないじゃない。バラカスが特別嬉しがると思えないって? ちがーう! 嬉しいに決まってる! バラカスが視たら大騒ぎだよ、床の上ゴロゴロ転がっちゃうよ!』
『そ、そうかしら、で、でも、』
白雪ちゃんはタジタジで、伸びた髪を包むようにさわってる。
ごめんね、バラカス。
こんな可愛い白雪ちゃんを、今はウチが独り占め。
『あのね、バラカスは絶対に嬉しいって思うよ。だってさ、白雪ちゃんが髪を伸ばしたのは、バラカスが言ってたコトを思い出したからでしょう? だから思い切って伸ばそうと思ったんでしょう?』
ウチが聞くと白雪ちゃんは、ヤヨイみたいにコクコク頷く。
ほっぺは赤くて顔は真剣、白雪ちゃんはいつだって全力だ。
それは恋も同じなの。
『まずこの段階で嬉しいよ。好きな霊が一人でいる時、自分のコトを考えてくれるなんて幸せだもん。しかもだよ、白雪ちゃんはずーっと髪は短かったのに、バラカスの為に伸ばしたんだって知ったら……バラカス下手すりゃ泣いちゃうよ』
『そ、そんなの大袈裟だわ、さ、さすがに泣かないでしょう?』
『甘いな、白雪ちゃんは。バラカスの片想い歴は100年だよ? 白雪ちゃんが好きで好きで想い続けて、やっと付き合えるようになったんだもん。嬉しくて泣いてもぜんぜん不思議じゃないわ』
……
…………しばしの沈黙。
ウチと白雪ちゃんの頭の中には、泣きながら床を転がるバラカスが浮かんでいた。
どっすーん!
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!(白雪好きだー!)
どっすーん!
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!(白雪ありがとー!)
……
…………
『…………やだ、どうしよう』
白雪ちゃんが困惑顔でウチを視る。
ウチはそれがおかしくて、こらえ切れずに笑ってしまった。
つられて白雪ちゃんも笑い出し、しばらく2人で笑い転げたのだ。
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