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『それで、バラカスにはいつ視せるの?』
お茶のおかわりを淹れながら、白雪ちゃんにそう聞くと、
『今日中には……おそくても明日かな。で、でもね、いざ視せようと思うと緊張するの。だってなんだか恥ずかしいわ。ずっとショートだったんだもの。だからまず心の準備をしなくてはと思って、それで……マーちゃんのトコに来ちゃったの。マーちゃんと話せば落ち着くかなぁと思って』
アセアセしながら答えてくれた。
ココロを落ち着けたい、そう思ってウチの所に来てくれたんだ……なんだろ、かなり嬉しいぞ。
『そか、ウチ、白雪ちゃんが来てくれて嬉しいよ。少しは落ち着けたかなぁ?』
テーブルにお茶を置き、ついでに和菓子も並べてみる。
視た目が綺麗で甘さ控えめ、すんごく緑茶に合うの。
『わぁ、きれいなお菓子! マーちゃんありがとう。
それで……うん、マーちゃんの顔を視て、話を聞いてもらったらホッとしちゃった。それに……ふふふ、さっきたくさん笑ったでしょう? あれが良かったみたい、良い意味で力が抜けたわ』
和菓子を一口。
食べた白雪ちゃんは『なにかしら……この優しい甘さは』なんて溶けている。
良かった、この様子だと少しは落ち着いてくれたのかも。
『なんかごめんね、髪型ひとつで大騒ぎしちゃって……でもね、私にとって、髪を伸ばすってハードルが高かったのよ。最後に長かったのは生きていた頃で、それから300年以上も短かったから……今になって伸ばすのは勇気がいたわ』
『そうだよね、勇気がいるよね。……バラカス、本当に泣いちゃうかもな。白雪ちゃんの気持ちが嬉しいし、それに____』
ウチはテーブルを回り込み、膝歩きで白雪ちゃんに近付いた。
そしてキレイな髪をそっと撫でる……ああ、柔らかくてツヤツヤで、柑橘のいい匂いもする。
『それにとっても似合ってる。綺麗で上品で可愛らしいの。ふふふ……バラカスにはもったいないくらいだわ』
そう言うと、白雪ちゃんは真っ赤になって顔をぶんぶん振りだした。
『そ、そんなコトないの! も、も、もし、少しは似合ってるとしたら、それはタッキー店長が整えてくれたからよ。タッキーさんは美のプロだもの。どんな霊でも素敵にしてくれる、彼の手は魔法の手だわ』
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