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どのくらい時間が経ったのか。
ジーナはウチを睨んでいるし、ウチは涙が止まらないし……そんな時だった。
遠くから、人の声が聞こえてきたの。
近所の人か学生か、分からないけどジーナは大きく舌を鳴らすと、ウチの手を痛いくらいに引っ張った。
「マジョリカ! こっちに来て!」
どうしたの、そう聞く事も許されず、道からそれて林の中に入っていった。
夏の暑さは木も草も、うんと大きく育てるから、木々の間に紛れてしまえば道からウチらは見えなくなるの。
何度も後ろを振り返る、道がどんどん遠くなる、林の中は薄暗くって心細くなってくる。
「ジーナ! どこまで行くの? 手が痛いよ、離して、」
後ろ姿の幼馴染は今度は無視をしなかった。
そのかわり、
「ウルサイ! 黙ってて!」
大きな声で怒鳴られた。
ウチは怖くてたまらなかった。
だっていつも言われてる、パパにもママにも、
____マジョリカ、林の中は昼間でも入っちゃ駄目よ、
____この時期は木も草も育ちすぎるの、
____一歩入れば紛れてしまう、
____誰かが道を歩いていても、
____林にいたら気付かれない、
____何があっても気付かれない、
____だから絶対、入っちゃ駄目、
「ジーナ……戻ろうよ……」
ウチはおずおずと声をかけた。
黙っててって言われたけど、早く林から出たいと思った。
怖いよ、悪い人がいるかもしれない。
それに昨日は雨が降ったもの。
地面はとってもドロドロしてて歩くのが大変だ。
この先行っても崖しかないし、危ないよ、帰ろうよ。
ジーナ、お願いだからウチを見て、お願いだから一緒に戻ろう、お願い、お願い、
「ジーナ、ねぇ、」
勇気を出して、もう一度声をかけた。
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