第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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「ウルサイッ!!」 ザザァッ!!!! 鳥が一斉に飛び立った。 それほどの大声だった。 怒鳴ったジーナは振り返り、歯を食いしばってウチを見る。 顔に汗を滲ませて、目を真っ赤に血走らせ、浅い呼吸を繰り返し、ジィッとウチを見続けたんだ。 ウチは震えが止まらなかった。 何かを言うのも怖くなり、もう何も言えなくなった。 重い沈黙と流れる汗。 暑さに苛ついているのか、それともウチに対する苛立ちなのか。 遠慮のない舌打ちをしたジーナは再び歩き出したんだ。 ウチの手首を強く引っ張り林の奥へとどんどん進む。 ____ねぇ、どこまで行くの? 聞きたいのは山々だけど、とてもじゃないけど怖くて聞けない。 かと言って逃げ出す事も震えて出来ない。 ウチはただただジーナに従った。 泥の地面に足を取られて歩くだけでも大変だけど、これ以上ジーナを怒らせるよりはマシに思えたからだ。 …… ………… ……………… それからしばらく黙って歩いた。 振り向けば道はうんと遠くに見えて、誰の声も聞こえてこない。 林の中はウチとジーナの2人きり。 もし、ここで何かが起こっても、誰にも見られないんだ、誰にも知られる事もないんだ………… え……待って……ウチ……なんでこんな事を考えたたんだろう…? なにも起こるはずがないじゃない。 今のジーナは怖いけど、不機嫌の延長だ。 きっとウチが何かをしたの、それをこれから教えてもらって謝るんだ。 それで、仲直りして、それで……2人で一緒に帰るの。 いくらそう思っても強い不安が消えてくれない。 ウチはそれを心の中で一生懸命否定した、なんとか不安を消そうとした。 大丈夫、悪い事は起きないはずだ。 大丈夫、だいじょうぶ、ダイジョウブ、そう何度も言い聞かせているのに、ウチの心の奥底はジーナから逃げたくてたまらなかった。 どうしてこんな事を思うんだろう、親友なのに、幼馴染なのに____ そんな不安がピークに達した時、 ジーナはウチの手首を解放すると、急に足を止めたんだ。 そして、なんの前触れもなくこう言った。 「…………マジョリカなんて大嫌い……!」
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