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ドンッ!!
鈍い音、強い衝撃、一瞬止まった息、
意識が朦朧とする、目がチカチカする、
視界に映るなにもかもが白っぽい、
ウチは落ちたんだ。
ジーナの指を掴み損ねて、崖から、下まで。
身体が痛いよ、動けないよ、ウチ……死んじゃうのかな?
パパ、ママ、助けて、
ジーナ、たすけて____
____不安と恐怖、痛みと気怠さ、
耳の奥がわんわん言ってる、セミの声が頭の中で反響してる。
うるさくてたまらない、汗もかいて気持ち悪い。
オウチに帰りたいな。
シャワーを浴びてアイスを食べて少し眠るの。
これはきっと悪い夢。
眠って起きたらジーナとウチは元通りの仲良しだ。
ああ、久しぶりにお泊りしたいなぁ。
ジーナの部屋でもウチの部屋でもどっちだってかまわない。
パジャマになってベッドの上にお菓子を広げて、朝までずっとおしゃべりするの、楽しいだろうなぁ。
ジーナ、大好きなジーナ、小さい頃からずっと一緒で姉妹みたいに育ったの。
ジーナ、ごめんね、ウチ、ごめんね。
「マジョリカ!」
あ……ジーナの声だ……来てくれたんだ……、
幼馴染の足音が、だんだんウチに近付いてくる。
身体が痛くて動かせないから、顔を上げる事が出来ない。
でも分かるよ、聞き慣れた足音だもの。
「マジョリカ……! 大丈夫!?」
大きな声が上から降って、ジーナがウチを覗き込む。
額に浮かぶ玉の汗が、雫となってウチに落ちる。
ジーナ、急いで来てくれたんだね、ありがとね、心配かけてごめんね。
あのね、ウチ、身体が動かないの、レスキューを呼んでくれる?
それとママに電話を。
そう言おうと思ったのに、喉が締まって張り付いて、うまく声が出てくれない。
それでもジーナは分かってくれた。
カバンの中から携帯電話を取り出して、「レスキュー呼ぶから!」と言ってくれたんだ。
やっぱりジーナは優しいよ。
ウチの事が嫌いなのに、こうして助けてくれるんだもの。
「…………ジ……ナ、」
息を吸うたび肺が痛む、喉は張り付き息苦しい。
だけどウチは、無理に声を出したんだ。
辛いけど、痛いけど、気持ちを早く伝えたかった。
”ありがとう” と ”ごめんね” を今すぐ言わなきゃいけない気がして、すっごくすっごく頑張って……聞こえたかな、大丈夫かな、
「マジョリカ……! 大丈夫!? あぁ……ごめん……私……ワザとじゃないの……まさか落ちてしまうなんて……」
ジーナは気付いてくれた。
ごめんとウチにあやまってるけどチガウの、あやまるのはウチの方なの。
それにこれは事故だから、ウチもジーナも悪くない。
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