第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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光る何かに気を取られたものの、ジーナの声に引き戻された。 「……カ、マジョリカ……私、アンタといると苦しいよ、嫌い……大嫌い……ああ……でも違う……本当は分かってる、私を苦しめるのはアンタじゃない。勝手に比べる周りの奴らと振り回される私自身だ。ちゃんと分かってるのに……それなのにどこで間違えたのかな、……マジョリカの髪だって、こんなにしちゃった、ごめん……どうしよう……どう償ったら良いんだろう……うぅ……」 ジーナの様子が変だ。 険がとれて攻撃的でなくなった。 だけど代わり、追い詰められた顔をして、怯えたように歯を鳴らす。 どうしたのかな……こんなの、あまりにも不安定だ。 その一方で、空から来る光る物がさらに近付いてきた。 さっきよりも姿形がよく見える、あれは……橋?  ううん、違うな……橋を支える柱がないもの、だからきっと道なんだ。 光る道は延々伸びて、何度か瞬きしているうちに、とうとう近くに降りて来た。 見た事はないけれど、架かる虹の根元に似ているんじゃないかと思う。 この道の正体は分からない、だけど強烈に身体が引っ張られる、いかなくちゃいけない気がする。 「マジョリカ……」 呼ぶ声が弱々しい。 ウチを見るその顔は、幼い頃のジーナそのものだった。 イタズラが見つかっておばさんに怒られて、シュンとしていたあの頃の。 「どうしてこんな事になっちゃったんだろう……私は確かにマジョリカを妬んでた。でもね、死んだらいいなんて絶対に思ってない、ただ少し離れたかっただけなんだ、それなのに……全部私のせいだ……マジョリカが逝くのなら、私も一緒に逝く、それしか出来ない、そのくらいしか償えない、」 そう言って、さっきのハサミを手に取ると、目を閉じ首にあてがった。 やめて……! ジーナおかしいよ、言う事がころころ変わる。 いつもと違う。 今のジーナは、ジーナであってジーナじゃない、……おかしいよ。 ウチはなんとか力を絞り、ジーナの手首を強く掴んだ。 本当にやめて、そんな事は望んでない、そんなのは償いなんかじゃない。 「ジーナ……、お願い……ハサミを置いて」 声を出すと肺が痛む、けど気にしてなんかいられない。 ウチにはもう時間がない。 だって背中も痛いんだ。 ジンジンと熱くって、身動ぎすると粘った湿りを感じるの。 ウチの命は血に溶けて、どんどん地面に吸われてる。 ねぇ、ジーナ。 ウチから離れたいんでしょう? ウチといたら苦しいんでしょう? だったら、”一緒に逝く” なんて言わないで。
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