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『それからの事は知っての通り。ジーナはお前と距離を取ろうと無視し始めた。あたしは愉快で笑いが止まらなかったよ。でもそれは100点じゃない、せいぜい70点だ。だってあたしはジーナに ”マジョリカに酷い事をしろ” と言ったんだ、なのに無視しかしない』
『………………』
『今日だってそうだ。林の中、ジーナの耳元であたしはずっと叫んでた。”林なら誰にも視られない、マジョリカを殺れ!” って。なのにそうしない。ま、結果的には勝手に崖から落ちてくれたから良いんだけど』
『………………』
『本当は、マジョリカを殺ったら髪を切ってとっとと逃げようと考えてた。だからジーナの耳元でそう何度も叫んだのに……生意気にも逆らいやがった! 堕ちてるクセに、マジョリカが嫌いなクセに……! 何が ”レスキューを呼ぶ” だ、何が ”こんなつもりじゃなかった” だ! だから一層叫んでやった! ”マジョリカを憎め!” ”レスキューなんて呼ぶな!” ”マジョリカのせいでフラれたんだ、だから仕返しをしろ、マジョリカの髪を切れ” って!』
言葉が……出なかった。
いきなり無視をしだしたジーナ、言う事がコロコロ変わるジーナ、不安定なジーナ……そういうのも全部コイツのせいだったんだ。
ウチの髪を切ったのだってコイツのせい……そうだよね、ジーナがあんな酷い事をするはずがないもの。
大事な髪をこんなにされて……切ったジーナも傷付けて……許せない……!
『ま、髪も手に入ったし、マジョリカは放っておいても死ぬだろうし、後はゆっくりジーナを乗っとればいい……と思ってたら、意外と早くお前が死んで、あたしの事が視えるようになった…………ヒヒ……ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!
あたしはずっとお前達の傍にいたけれど、話した事はなかったよね。会話は今日が初めてだ。興奮する……嬉しいよ。マジョリカ・ビアンコとずっと話がしたいと思ってたんだ。話をして、人に愛されるのが当たり前だと思ってるお前をグジュグジュに傷付けてやりたいと願ってたから……!』
…………ッ!!
叫ぶようにそう言った肉の塊は、一瞬でウチの目の前まで来た。
酷い臭いがする……生臭くて血の臭い。
視上げる程に大きいコイツは、身を屈め、ウチの頭を……べろりと舐めたんだ……!
『イヤァッ!! な、なにするの!?』
『髪……頭に髪の根本が残ってる……だから舐めたんだ、勿体ないだろう? 女の髪は霊力になるから』
『チカラになる……? 意味が分からない……気持ち悪いよ……』
『ふん、気持ち悪くて悪かったね、それより今どんな気持ちだ? せっかく美しく生まれたのに幼馴染に殺されて人生が終わってしまった。……ヒヒ、ざまぁみろ。どんなに美しくとも死んだら終わり、この先に未来はない、』
『…………違う……』
『あぁ? 何が違うんだ、負け惜しみか?』
『……ウ、ウチは殺されたんじゃない! あれは事故だもの、ジーナは一つも悪くない、だってあんたに操られてた!』
『あたしに? 操られてた? ああ、確かにそうだ。でもね、マジョリカは勘違いしてる。ジーナがおかしくなったのは全部あたしのせいだと思ってるんだろうが違う。よく考えろ、元々あたしはマジョリカ、お前の身体がほしかった。だけど付け入る隙がなくて諦めたんだ。お前は素直で明るくて人を疑う事をしない。視てて……胸糞が悪くなるくらいにね』
『そ、それが何? 少なくとも悪い事じゃないはずよ』
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