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ぜんぶを話終えた時、もう何度目だろう?
白雪さんは再びウチを抱きしめた。
さっきよりも力が強く、隙間がないほどくっついて『怖かったわね、悲しかったわね』そう言いながらウチの背中をさすったの。
それでそのあと、霊体を離した白雪さんは、急に何かを思い出したようにおもむろと、迷彩柄のパンツのポケット、そこからキャップを取り出してウチの頭に乗せたんだ。
そして……
『やだ……可愛い! あ、いきなりごめんなさい。でもやっぱりね、似合うんじゃないかと思ったの』
白雪さんはニコニコ笑い、まるで子供にそうするみたいに、キャップの上からウチの頭をワシワシ撫でた。
あ……これって気遣ってくれたんだろうな。
さっきウチが、髪を切られて悲しかったと泣いたから、こんな頭じゃ恥ずかしいと俯いたから。
白雪さんはそんなウチを気にかけて、だからと言って、”このキャップで隠しなさい” 、ではなく、 ”そんな頭じゃかわいそう” 、でもなく、”やだ、可愛い” と明るく言ってくれたんだ。
なんだろ……気持ちがすごく嬉しくて、白雪さんに救われる。
さっきまでの辛い気持ちが薄れていく。
『マジョリカさん、辛いのに話してくれてありがとう。大体の事情は分かったわ。となると……ジーナさんが心配ね』
白雪さんはそう言うと腕を組んでしばらく考え、そして、宙を指で叩くような、そんな仕草を数回したの。
その直後。
突然、学校の黒板よりももっと大きい、半透明の、モニター……? みたいなモノが現れたんだ。
それはふわりと宙に浮き、ノイズがチカチカ横向きに走ってる。
なにこれ……?
なんでこんなモノが出てきたの?
というかどうやって出したの?
出したのは白雪さん……だよね?
これはなに?
なにに使うの?
どういう事なの?
頭の中はたくさんのクエスチョンでいっぱいだった。
白雪さんに聞いてみようかな……と思ったけど、彼女は何やら忙しそうで、なんとなく話かけにくい。
とりあえず、ジャマをしないように、そっと後ろで眺めていた。
きっと大人しく待ってれば、あとから何をしてるか教えてくれるかも……と、思ったその時だった。
ブンッと短い音がした。
音のすぐ後、モニターのノイズが消えた。
代わり、そこに知った顔が映り込む。
……
…………え、
ちょっと……この映像って……!
『ジーナ!』
そこには大好きなジーナが映っていた。
地上の崖の下、泣きながら地面に蹲る幼馴染。
そのジーナの後ろには、肉の塊…… ”あのヒト” がぴったりと張り付いていた。
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