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『この映像……! ねぇ白雪さん! ここに映ってるのはジーナです! それでジーナの後ろにいるのがさっき話した ”肉の塊のヒト” なの! これってなんなんですか!? 地上の様子が映ってるって事!?』
思わず大声になった。
目はモニターに釘付けで、心臓がうるさいくらいにバクバクいってる。
『マジョリカさん落ち着いて。まず質問に答えるわ。この映像は現世を映し出してるの。タイムラグは無し、完全なリアルタイムよ。このお嬢さんがジーナさんなのね、そして後ろにいる肉塊……これは思った以上に性質の悪い悪霊だわ、』
そう言って言葉を止めた白雪さんは、モニターを食い入るように視つめた。
性質が悪い悪霊か……確かに、ちっとも良い霊じゃなかった。
それだけじゃない、”あのヒト” はジーナを狙ってる、身体を奪って人生をやり直すつもりなの。
そんな事、許されるはずがないのに。
どうしよう、こうしている間もジーナは危険に晒されている。
放っておく訳にはいかない、ジーナはこれからたくさん生きて、たくさん幸せにならないといけないの。
こんな所であんな奴に身体と人生を奪われるなんて……絶対にだめなんだ。
助けに行かなくちゃ、ジーナを ”あのヒト” から守らなくちゃ、怖いけど、怖くても、あの子はウチの親友だもの……!
『白雪さん、あの……! ウチ、行かなくちゃ。ジーナを助けに帰ります。だからその……黄泉の国には逝けないです。せっかく来てくれたのにごめんなさい。ウチの事、助けてくれてありがとうございました。もう会えないと思うけど、どうかお元気で』
お礼を言って、あやまって、そして行こうと後ろを向いた。
走って行けば間に合うかもと、道を蹴ったその瞬間、白雪さんはウチの手首を掴んだの。
『待って。助けに行くって言ったけど、はっきり言ってマジョリカさんが行ってもどうにもならないわ』
厳しい顔だった。
白雪さんは強い力でウチを離さず淡々と、こうも続けたんだ。
『さっき言ったでしょう? 思った以上に性質の悪い悪霊だと。ジーナさんを助けたい気持ちは分かるわ。でも、あなたじゃ無理よ。助けられない』
”あなたじゃ無理” 、そうハッキリと言われたウチは、頭を強く叩かれたようなショックを受けた。
確かにそうかもしれない。
”あのヒト” は視上げる程に霊体が大きくて、力じゃきっと敵わない、けど……そんなの……分かってるよ、分かってるけど、ジーナをこのまま視捨てるなんて、どうしても出来ないの、
『……し、白雪さん……あのね、ウチね、そんなの……分かってます、ウチじゃきっと何も出来ない、でも……でも……ウチにとってジーナは大事な子なんです、だから助けに行きたいの、ダメでも、どうしても……ウチは……ウチは……うぅ……うぅぅ』
白雪さんは冷静に判断しただけ、忠告してくれただけ。
それなのに、こんな事で泣いたら駄目なのに、困らせるだけなのに。
涙がぜんぜん止まってくれない。
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