第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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有無を言わせない圧だった。 放った声は “あのヒト” よりも大きくて、絶対に逆らえない……ううん、逆らってはいけないと思わせるものだった。 ただ怒鳴るだけとは違う、”命令” という言葉を強める何かがあった。 【…………分かったよ……】 眉を寄せて渋々と、“あのヒト”は 長さの違う手足を支えにフラつきながら立ち上がる。 反対に白雪さんは、それを視ても眉ひとつ動かさず、強い圧はそのままに話を始めた。 【まずは、私の友人を侮辱した事を謝りなさい。ああ、それだけじゃないわね。あなた、マジョリカさんを背中から蹴ったそうじゃない。何メートルも吹っ飛ぶ程に。罪のない無抵抗な少女に対し、許されない蛮行だわ】 謝れって……白雪さんの気持ちは嬉しいよ、でもきっと、“あのヒト” は納得しない。 だって悪いだなんて思ってないの、ウチの事が嫌いで嫌いで、さっきだって言ってたよ。 ”マジョリカを傷付けてやりたいと思ってた” って……、 【…………マジョリカに謝れって……? ……なんであたしが……あんな小娘に頭を下げなきゃいけないんだよ……嫌だ……それだけは嫌だ……】 【……………………】 【…………なんなんだ……どいつもこいつもマジョリカマジョリカマジョリカ!! どこがそんなに良いんだよ! 取り柄は顔だけ! 頭の中は空っぽさ! アイツはなんの努力もしない! 綺麗な顔で泣くか笑うかするだけだ! たったそれだけで何でも思い通りになるんだよ!! あぁぁぁあああ!!】 【……………………】 【何とか言えよ!! 不公平じゃないか!! 扱いが違うのはあたしが醜いからか!? 白雪は言ったよな、マジョリカに友人になってくれと “お願い” したって!! クソがっ!! 小娘には “お願い” で、あたしには “命令” か!? バカにするなぁぁあああああああああ!!】
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