第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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え……? 今、なんて言った? 守ってくれ? ウチは耳を疑った。 いきなり何を言い出すの? 一体どういうつもりなの? “あのヒト” にされた事、それを思えば疑問しか浮かばない。 何か裏があるんじゃないかと勘繰ってしまう。 そう思ったのは白雪さんも同じみたいで、眉を寄せて訝しげな顔をした。 【…………あなた、マジョリカさんもジーナさんも嫌いじゃなかったの? 守れだなんて、なぜそんな事を?】 すると “あのヒト” は、耳まで裂けた大きな口をこれでもかと歪ませて、 【ああ、嫌いだ。特にマジョリカは大嫌い。でもね、不思議なもので10年以上も憑りついてると変な情が沸くんだよ。今日でもうお別れかと思うと心配になったんだ。あたしが痛めつけるのは良い。でも、他の誰かが手を出すのは許せない】 こう言ったんだ。 白雪さんは呆れたような苦い顔、ウチもやっぱりおんなじだった。 【随分と勝手な事を言うのね。あなたのせいでマジョリカさんは死んでしまったというのに、】 更に苦味を増した顔で白雪さんが言った。 それに対し “あのヒト” は、 【ああそうだ、あたしのせいだ。マジョリカが死んだのも、ジーナがおかしくなったのも、みんなあたしのせいだ。仕方がないだろ、だってあたしは悪霊だから】 と……、 きっぱりとした声を上げた。
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