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【長きにわたり、罪のない少女2人に憑りついた罪。ジーナさんを10年かけて洗脳した罪。そしてマジョリカさんを死に至らしめた罪、】
射る目に更に力が籠る。
アイツは尋常ではない圧に身の危険を感じたのだろう。
逃げたくても逃げられない体勢で【待って、話を聞いてくれ】と繰り返す。
白雪さんはそれらを無視して続けた。
【それだけじゃない。あなた、少女達の心も深く傷付けた。ジーナさんにマジョリカさんの髪を切らすだなんて……あまりに酷い、】
そこで言葉を止めた白雪さんは、ジリリと間合いを詰めた。
途端アイツは大声でわめき出す。
【ひぃっ! ま、待って、待ってって言ってるじゃないか!】
それを聞いた白雪さんは片眉を上げ、不思議そうな顔をした。
【あなた、さっきから ”待ってくれ” と繰り返すけど、忘れてしまったの? 私はもう、あなたに時間をあげたわ】
【……あげた? いつ……?】
アイツは心底分からないと言った顔でオウム返しにする。
すると白雪さんは、
【自分で言ったのよ? ”最後に罪滅ぼしがしたい、ジーナの洗脳を解きたい” と。私はあなたの言葉を信用し、その為の時間をあげたわ。でも、結局は嘘だった。自分が逃げる為にジーナさんを利用して、そして私を騙したの】
小さな子供に聞かせるように。
一言一言ゆっくりと噛み砕くように話す白雪さんに……今度はアイツが黙った。
【もう終わりにしましょう。私、マジョリカさんを待たせてるの】
そう言って、白雪さんは何を思ったのかアイツの背中の矢を抜いた。
瞬間、アイツは呆気にとられ、だけどすぐに地面を蹴って上に飛ぶ。
言葉にならない悲鳴を上げて、この期に及んで逃げるつもりで。
ウチは息を飲んだ。
白雪さんは少し遅れて大地を蹴ると、先に飛んだアイツを追い越し雲の位置で停止する。
数秒後。
空で待ち構えていた白雪さんは、
【さよなら。私、嘘つく霊は嫌いなの】
足を振り上げ、アイツの頭上に一気に落とす。
【ガフッ、】
最期____
アイツは意味の無い声をあげ、
地上に落ちる事もなく、
空中で、
霧と化して消えた。
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