第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

218/285
前へ
/2550ページ
次へ
白雪さんは誰かと……ううん、バラカスさんという方とお話をしてるようだった。 あの十字架はもしかして、通信機……なのかな? ペンダントが通信機だなんて、ウチ、あんなの視た事がないよ。 【それでね、私が今いるのは光る道じゃなくて現世なの。場所は、……えぇ! もう知ってるの? す、すごいわね、……え? 場所だけじゃない? どうして現世にいるのかも知ってるし、私が悪霊滅したのも知っている? な、なんで!? え? まだあるの? マザーにも連絡済みでもう現世(こっち)に向かってる? やだっ! 怖い! 先回りすぎて怖いわ! なんでぜんぶ知ってるのよ、…………あ、もしかしてバラカス、さてはあなた視てたのね? また光道(こうどう)のシステムに入り込んだんでしょう、……え? 入り込んだんじゃない? メンテナンスしてたらたまたま視えた? はぁ……よく言うわ……でも、今回は時間がないから助かった。ええ、ありがとう。戻ったら新しい友人を連れて会いに行く。ん、またね】 話し終わった白雪さんは、”はぁ” とため息をつき、だけどすぐにクスリと笑った。 ジーナの隣で膝を着き、きっと、さっき言ってた ”フェアリーゴッドマザー” さんを待っているんだと思った。 それにしても……人を呼んで一体なにをするつもりなんだろう? 新たな疑問に首を傾げた時だった。 モニターの端っこに、チカッと輝く何かが映る。 あれは……なに? 画面の中の、空のうんと高い所。 重なる雲の隙間から、七色の優しい光が雫のように落ちてくる。 一粒、二粒、三粒と、大粒の雨にも似てる虹色は、次第に数を増やしていって、四粒、五粒、六粒、七粒、まだまだ増える、どんどん増える、これ以上はとてもじゃないけど数えきれない。 サーッと静かな音を立て、曇った空から虹の雨が次から次へと降ってきた。 降れば降るほどプリズムに輝いて、光が辺りを照らすから、映り込んで灰の雲まで虹色だ。 キレイ……すんごくキレイ……! 虹の雫の雨なんて、まるでお伽の国みたい! 白雪さんも空を視上げてニコニコ笑う。 ジーナ、目を覚ませばいいのに。 あの子はキレイなものが大好きだもの、ジーナにも見せてあげたいよ。 ウチはぽーっとしながら、夢のような光景に見惚れていた。 いつまでも視てられる、そう思ってうっとりしながら眺めていると、虹の雨とお揃いの、虹の傘をさした女性が空から突然舞い降りたんだ。 傘はまるでパラシュート。 柄につかまって、ふわぁ、ふわぁと、優雅に地上に降り立った。 彼女が……フェアリーゴッドマザーさん、なのかな? ウチのママより年上かもなその人は、赤いドレスに白髪の髪を一つにまとめた素敵な女性。 程良いふくよかさが優しそうな雰囲気だ。 地面に立ったフェアリーゴッドマザーさんは、両手を広げてトトトと走る。 そしてとっても元気な声で、 【久しぶりね、白雪ちゃんっ! バラカスから聞いたわ。私に頼みたい事があるんでしょう? なんでも言ってちょうだい! このフェアリーゴッドマザーが魔法で解決してあげるっ!】 そう言ったんだ。 ん? んん? ま、魔法……?
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2374人が本棚に入れています
本棚に追加