第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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マザーさんは大張り切りで、白雪さんの背中を押しつつ ”早く行って” と急かしてる。 白雪さんは ”はいはい” なんて笑いながらされるがままで、それで、その後マザーさんにこう言った。 【ジーナさんの目が覚めたら伝えてちょうだい。あなたは悪くない。マジョリカさんは恨んでないし、亡くなった後もジーナさんを守ろうと必死になっていた。マジョリカさんはあなたの事が大好きで、あなたの事がとても大事で、これからの未来、あなたが幸せになる事を強く願っている。今はお別れでも必ずまた会えるから、それまでどうか前向きに、たくさん笑って生きてくださいと】 あ……白雪さん、ウチがジーナに伝えたい事、ぜんぶ代わりに言ってくれた。 ウチの声、今はジーナに聞こえないから、嬉しい……すごくすごく嬉しいよ。 【分かった、必ず伝える。私からもマジョリカちゃんに伝えてちょうだい。ジーナちゃんは私が責任もって守るからって。それと先になるけどジーナちゃんが落ち着いたらあなたに会いに逝くとも】 マザーさん、ありがとうございます。 ジーナの事、どうぞよろしくお願いします。 それからウチも、いつか会えるの楽しみにしています。 【うん、伝えとく! とは言っても、マジョリカさんは宇宙(そら)から全部視てるんだけどね、……って、そうだ! そうだった! 視てるんだったわ! 危ない危ない、モニターオフにしないとマザーの魔法、マジョリカさんが視ちゃうトコだった! 待って今すぐオフにするから、】 え! なに? なんで?  ”視ちゃうトコだった!” って言い方ヘン! やっぱり視ちゃ駄目なの? モニター越しでも駄目なの? 視るとどうなるの? もしかして、魔法が無効になっちゃうの? ああん、視たいのに! 魔法、視せてー! ブンッ! 『……あれ? あれ? あれれれ? 画面が消えた、映らなくなっちゃった、』 黒板くらいの大きさの、モニター画面が突然消えた。 さっきまで、地上の様子が映っていたのに。 今は真っ暗、声さえも聞こえない。 『お、おーい』 ダメ元で声をかけつつ、モニターの端から端まで視てみたけど……電源ボタンらしきものもなかった(当然リモコンもない)。 『ボタンないなぁ。テレビならどこかにあるんだけどなぁ』 視えてたものが視えなくなると、ちょっぴり不安になる。 でも、宇宙(ここ)に来たばかりの時に感じた恐怖心はもう無い。 少し待てば、白雪さんが戻ってきてくれるはずだもの。 だから大丈夫、ぜんぜん怖くないんだから。 それからちょっとの間、ウチは道にペタンと座って綺麗な星を眺めていた。 宇宙(ここ)から視ると近いから、すごくキラキラ輝いてるの。 ジーナも一緒に視れたら良かったな。 あの子は綺麗な物が大好きで、可愛い動物も大好きで、本も好きで、手芸も好きで、料理がとっても上手なの。 大好きなジーナ。 本当はもっと、もっと一緒にいたかったな____
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