第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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『え、えっと、白雪さん。さっき言ってた……その、ま、魔法って誰かに視られたらダメなの? 視られると、魔法が効かなくなったりしちゃうとか?』 白雪さんの腕の中、視上げておずおず聞いてみた。 だってやっぱり気になっちゃう。 魔法なんて視たコトないもん。 だから、ホントはすっごくすっごく視たかったんだ。 『マザーの魔法が気になってるのね? ふふ、そうよねぇ。気になっちゃうわよねぇ。昔にくらべて、現世に住む魔法使いの数はだいぶ減ってしまった。だから今を生きるほとんどの人は魔法を視たコトがないのだもの』 『う、うん、そうなの、視たコトないの。魔法なんてウチ、本か映画の中だけだと思ってた。だからマザーさんが魔法使いだと聞いて、その、視たいなぁって、すごく思っちゃった……で、でもね、マザーさん、白雪さんにも視ちゃダメだって言ってたし、モニターも切っちゃうくらいだから、視たらダメな何かあるのかなぁって、』 あんまりしつこく聞いたらいけない。 だから、これで答えてくれなかったら聞くのやめる。 どうだろ、白雪さんは教えてくれるかな? なんだかドキドキしちゃうよ。 『んー、そうねぇ。今の質問、単純に答えるなら ”ある” と言うしかないわ。でもね、それはマザー独自の理由なの。彼女は魔法を使ってる所を、あまり人に視せたくないと思っていてね。でも、視られたからって魔法が効かなくなる訳じゃない。ただ、魔法の呪文が独特すぎるというか……視た人を巻き込むと言うか……ふふ……ふふふ……ふふふふふ! ……あ。やだ、ごめんなさい! 思い出したら、ついつい笑っちゃったわ』 白雪さんは話の途中で笑い出し、未だそれを引きずりながら指で目元を拭ってる。 よ、よく分からない、笑っちゃうよな呪文なの? 笑いすぎで涙が出るほどって……えっと、それってどーゆー…… 『とにかく、呪文はアレだけど腕は確かよ。そのうちいつか、マザーが良いと言ってくれたら魔法を視せてもらいましょう。あ、でもジーナさんの方が先になるかしら。これからしばらく毎日マザーと一緒だもの。ふふふ……ジーナさん……視たらきっと驚くわ……涙も引っ込むくらいにね』 またもや途中で笑ってる、ますます混乱。 魔法を視たら、呪文を聞いたら、ジーナの涙が引っ込むの? ん? んー? んーんー ダメだ、ぜんぜん分からない。 んー……でもいいや。 分かんないけど楽しそうだし、魔法はきっとすごくって、みんなを笑顔にするのだろう。 いつかそのうち、ウチも視せてもらえたらいいな。★1 …… ………… ……………… 魔法の話に区切りがついて、この後はどうするんだろうって思ってた。 黄泉の国に向かうのかな……なんて、そんな想像をしてたんだけど、白雪さんが言ったのはまったく別の提案だった。 『さぁてと。マジョリカさん、たびたびで悪いけど、少し(ココ)で待っててくれる? 今から黄泉の国で一番のスタイリストを連れてくるから。マジョリカさんの髪を整えてもらうの。スタイリストの名前はタッキー。生きてた頃もその後も、彼は超有名な美のカリスマよ。黄泉の国に逝く前に、思いっきりキレイにしてもらいましょう!』 ★1 マジョリカが魔法を視るのはだいぶ後になってから……となりますが、フェアリーゴッドマザーが生きていたうんと昔、白雪ちゃんのお母さんにせがまれ魔法を見せたコトがあります。 そのシーンがココです(『あの女は不死身の化け物か!?』に飛びます) ↓ ★https://estar.jp/novels/24620897/viewer?page=31&preview=1
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