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な、な、な、なに……!?
スタイリスト? タッキーさん? 美のカリスマ?
いきなりすぎて分からない。
もしかして、美容師さんを道に呼ぶとか?
それで、ウチの髪を整えてもらうの?
で、でも!
ウチの髪、男の子より短いよ。
しかもまばらで短いトコと長いトコが混ざってる。
こんなの人に視せたくない、整えるなら白雪さんに頼みたい、それにお金も持ってない、だから、だから、
そう言おうと思ったの。
呼ばないで、ダイジョブだからと、引き留めようとしたその瞬間。
『じゃあ、すぐに呼んでくるから待っててね!』
元気にそれだけ言い残し、白雪さんは消えたんだ。
『あ……逝っちゃった……ど、どうしよ、……いいのに、ウチ、こんな髪で恥ずかしいし、タッキーさん、美のカリスマだって……黄泉の国で1番のスタイリストさんだって言ってたよ……うぅ……やだな……そんなスゴイ人、緊張しちゃう、お金もないし、来てもらっても断るようだし、迷惑かけちゃうな、うぅ……どうしたらいいんだろ、』
道の上でウロウロしながらブツブツ言って、制服の、泥をパンパン手ではたく。
はたいた所で大して綺麗にならないけれど、何かしないと落ち着かない。(あんまり落ち着かないけど)
……
…………
………………
白雪さんが消えてから、どのくらいが経っただろう?
感覚的には15分。
ん……落ち着かない。
カリスマさんって、どんな人かな……?
きっと素敵な人なんだろな……
もうそろそろ来ちゃうかな……?
ウチを視たら笑うかな……?
それとも、同情されるかな……?
どっちもやだな……ウチ、泣いちゃうかもしれないよ。
考え出したらパニックで、いっそどこかに隠れたいと思ったの。
でも……ココは宇宙の真ん中で、隠れる所はどこにもない。
どうしよう、どうにもならない、頭の中はグルグル回る。
そんな気持ちが表に出ちゃって、ウロウロしたり止まったり。
ハハハと笑って頭を抱えて……ウチはすっかりヘンな子になっていた。
その時。
ブンッ!
ブンッ!
さっきと同じ鈍い音がした。
今度は2回、後ろから。
その直後、ガラス細工の鈴の音の、キレイな声が聞こえてきたの。
『マジョリカさん、お待たせ! タッキーを連れてきたわ! タッキー、彼女がマジョリカさん。私の新しいお友達なの! これから黄泉に向かうのだけど、その前に思いっ切りキレイにしてあげて!』
や、やっぱり白雪さんだ……!
タッキーさんも一緒みたい。
ウチはもう焦ってしまって膝がガクガク揺れ出した。
ど、どうしよ、緊張しちゃって振り向けないよ。
どうしていいか分からずに、ただひたすら固まっていた時だった。
背中から、大きな声が響いてきたんだ。
『あなたがマジョリカ!?
んまぁぁぁぁぁぁ! なんて綺麗な子でしょう! こんな綺麗な子、滅多にお目にかかれないわぁぁぁ! 素敵! 久々よ! 私の中の美の炎がメラメラ燃えてる! これは気合が入るわね、…………あなた! 私がもっと綺麗にしてあげる! 今から身も心もぜんぶ私に預けなさい! んほぉぉぉ! やったるわぁぁぁぁ!!』
え……?
え、え、え、え!!
タッキーさんに回り込まれて目が合って、そしてウチは再び固まる。
だってそこには、大きな身体で肌はすべすべ、つぶらな瞳の………………タコ。
か、火星人の方……だろうか?
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